2015年春卒業予定の学生の就職活動が12月1日に解禁された。企業によっては、ユニークな採用活動を実施するところがある。ドワンゴのように入社試験を有料化するのも、そのひとつだ。
これとは逆に、都内のあるベンチャー企業は就活面接を受けた学生に「謝礼」を渡すと発表した。どんな目的なのだろうか。
「ひやかし」の学生も「その後のつながりがメリットに」
ウェブサイト制作会社「Bark to Imagine」(東京・台東)は社員、アルバイト合わせて10人ほどのベンチャー企業だ。平均年齢25歳、2012年12月創業の若い会社だが、初めて迎えた採用活動で、いきなり独自色を打ち出した。採用試験を受験する就活生に「2525円を差し上げます」というのだ。
同社に電話取材して、その意図をたずねた。採用活動では優秀な人材の確保を期待してはいるが、一方で「就活生に会社を評価してもらう場ととらえています」と説明する。
誕生1年のベンチャー企業は大手と比べて知名度が低く、就活生がこぞって入社を希望する状況ではない、多くの学生に会う機会を増やそうとの発想から始めた制度だそうだ。面接を通して学生たちから会社に関する印象を聞いたりしながら、会社としての評価を確認するのだという。
エントリーに際しては「ひやかし大歓迎」とまで書いている。「本気の志望者」だけを絞り込もうと「受験料徴収」を決めたドワンゴとは対照的だ。入社する気もない学生が大挙して押しかけたら、面接を担当する社長の手を煩わすばかりで人材の見極めにも時間がかかり、効率が悪いのではないか。
だがそこには、忙しい就活生がわざわざ2525円を目当てに全く興味のない業界の会社に足を運ぼうとは思わないだろう、との読みがありそうだ。Bark to Imagineが手掛けるサイト制作や開発といった事業は、必要とされる専門分野が明確で、業界としてもそれほど広くない。多少なりとも業界に注目している学生が来るだろうし、一度顔を合わせたらたとえ入社しなかったとしてもつながりができる。「その後、仕事でお互いにメリットをもたらすかもしれません」。
とはいえ、初の試みだけに予想以上の就活生が来て対応不能になるリスクを回避する策も講じられた。2525円支給を先着25人に限定し、また受験者の顔写真と氏名をウェブサイトに掲載することを条件としたのだ。