COP19、玉虫色の自主目標で合意 この程度で温暖化食い止められるのか

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削減を「約束する」が途上国の抵抗で、「貢献する」に

   合意した自主目標方式は、京都議定書を離脱した米国が提案し、日欧が賛同したものだが、合意文書は全体に玉虫色の表現が目立つ。中でも、各国が削減を「約束する(コミットメント)」との文案は、途上国の抵抗で、削減に「貢献する(コントリビューション)」と書き改められ、拘束力のない緩やかな表現になった。また、途上国の目標作りへの資金面の支援をするのは「支援できる国」とただし書きが加えられた。新たな資金拠出に議会の抵抗感が強い米国などは、支援が義務ではないと解釈できる余地を残した形だ。

   こうした各国の自主性に委ねる方式では、甘い数値を出す可能性があり、十分な対策になる保証はない。目標そのものがどのような内容になるのかさえ議論にならず、温室効果ガス削減のはっきりした目標でなければならないのか、エネルギー効率の改善や再生可能エネルギーの導入目標といった内容でも認められるのかも、はっきりしないという。

   このため、COP19の場でも、水没の危機にある島国などから「自主目標で温暖化を食い止められるのか」(インド洋のセーシェル)との批判が噴出した。

   米国は13年春、各国が国連に提出した目標を相互に評価しあい、より高い目標に引き上げようと提案した。今回、とりあえず「目標提出」で合意するのが精いっぱいだったが、目標の実効性を高める努力が極めて重要になる。

   日本は、2020年までに「1990年比25%削減」との従来目標を取り下げ、COP19に合わせて「2005年比3.8%削減」に目標を後退させ、COP19で先進国、途上国を問わず厳しい批判を浴びた。原発稼働ゼロと仮定した暫定値とはいえ、1年余り後の2015年春に2020年以降の目標を改めて国連に報告することになるが、原発再稼働が見通せない中、どこまでの数値を示せるかは不透明で、今後の国際交渉の中で、発言権をいかに確保するか、見通しは立っていない。

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