国費投入、さらなるリストラで「人がいなくなる」
相次ぐ依願退職者で、東京電力の現場はギリギリの人数になっている。東電によると、2013年度末に3万6000人体制を目指していた人員削減計画は、この12月1日時点で3万5995人になり、すでに目標に到達した。
それにもかかわらず、毎月のように依願退職者は増えている。これから福島の復興事業に相当な人数を投入するのに、さらなる人員削減で現場の業務運営に支障をきたす懸念は高まっている。
さらに、政府・与党内では除染や汚染水対策、中間貯蔵施設の建設などへの国費投入を機に、東電に一段のリストラを求めている。東電が年内に見直す総合事業特別計画(再建計画)では、追加の経営合理化策として、創業以来初の希望退職が盛り込まれるとみられ、その規模は1000人にのぼるとされる。
東電の発電や送配電設備の保守部門では機器の異音を聞き分けられるような、高い技能が求められている。また事務部門でも電気料金の複雑な計算を処理するノウハウが必要とされ、東電はこうした技能やノウハウを遺していかなければ、将来の電力の安定供給に影響が出る懸念があるという。
人材の流出が続くなか、東電は一方で3年ぶりの新卒採用に踏み切り、14年3月卒業予定の大学、高専、高校卒者331人を内定している。