日本に着任してから半月になる米国のキャロライン・ケネディ大使が存在感を増している。高い知名度を背景に当初から注目度が高かったが、その手腕は「未知数」だとされてきた。
だが、この半月で中国の防空識別圏設定や沖縄県の基地問題など、重要課題にも着手しつつある。
ネット調査では7割が「期待する」
ケネディ氏に対する日本国民の期待度は高い。来日直後に皇居で行われる信任状捧呈式に向かう馬車の列を見ようと、沿道には人だかりが出来た。これは前任のルース大使の時にはなかった出来事で、関心の高さを表しているといえそうだ。さらに、ヤフーが2013年11月19日から11月29日にかけて行った意識調査で
「ケネディ新駐日米大使に期待する?」
と聞いたところ、約3万5000票のうち70.7%が「期待する」と回答した。
米国側からの期待度も高い。オバマ大統領も11月20日に行ったケネディ元大統領の追悼演説の中で、これまでケネディ家が果たしてきた役割を称賛した上で、これが「ケネディ大使にも引き継がれている」とした。
また、タレントのデーブ・スペクターさんも、11月28日放送の「ミヤネ屋」(読売テレビ)の中で、
「アメリカにいる人たちが、日本の米国大使を知っているのは初めてといっていい」
と解説した。なお、スペクターさんは前日11月27日に行われた在日米国商工会議所などが主催の昼食会に招かれ、ケネディ大使の講演を聴いている。番組ではかなり上機嫌だった。
経団連・同友会より先に「新経済連盟」と会談
外交面でも、ケネディ大使は具体的な行動を始めている。この昼食会では、中国が防空識別圏を設定したことについて
「中国の一方的な行動は、東シナ海の現状を変えようとする試みで、地域の緊張を高める」
などと非難。
翌11月29日には、沖縄県の仲井真弘多(ひろかず)知事を大使公邸に招待して会談している。仲井真知事は近日中に、米軍普天間飛行場の移転先にあたる名護市辺野古沖の埋め立てを許可するか判断することになっている。米国側としては、移設に向けた環境整備を進める狙いがあるとみられる。
また、11月25、26日には東日本大震災の被災地も訪れている。
経済界との交流も戦略的に進めているようだ。12月6日には楽天の本社を訪れ、1時間にわたって社内を視察。楽天の三木谷浩史社長とも会談した。三木谷氏はIT系企業などでつくる経済団体「新経済連盟」の代表理事を務めており、経団連や経済同友会のトップに先立って会談を果たしている。会談は大使館側の要請で行われたという。
産経新聞は、この訪問を
「異例の単独会談、出し抜かれた経済3団体」
という見出しを付けて報じた。三木谷氏はこの記事のURLをツイートし、成果を誇っていた。