北部でも場所によっては「日本の夏よりまし」
ただ暑さという悪条件は日本より、地域によっては夏でも比較的冷涼な欧州の出場国を直撃する可能性が高い。「フットボールレフェリージャーナル」を運営するサッカージャーナリストの石井紘人氏は、2002年の日韓W杯を例に挙げる。気候だけが原因ではないだろうが、グループリーグで前回大会優勝のフランスをはじめ同3位のクロアチア、ポルトガルが姿を消した。前回は3連敗に沈んでいた日本がベルギーと引き分け、ロシアに勝ったのも、気候を熟知していたという「地の利」を生かせた点は否定できないだろう。
試合会場の中で、6月は暑いとされる北部のレシフェやナタル、フォルタレザ、サルバドルについて前出の日本人女性は、「湿度の高さは、日本の夏と比べるとそれほどではないかもしれません」と話す。アマゾン流域のマナウスは「別格」の厳しい環境だが、これらの会場ならそこまで悲観的にならずに済むかもしれない。
コンフェデ杯で日本がイタリアに善戦したのも、会場のレシフェの暑さでイタリアのパフォーマンスが落ちた影響を石井氏は指摘する。日本の選手は蒸し暑さに慣れているが、欧州の選手はそうとは限らず、「灼熱地獄」に苦しむ恐れがある。
報道によると組み合わせ抽選会を前に、ブラジルやウルグアイ、イングランドといった強豪国が「日本とは対戦したくない」と漏らしているという。先の欧州遠征でオランダ、ベルギーと互角以上の戦いをした評価かもしれないが、蒸し暑さへの備えができているとして警戒感を強めているのだろうか。地球の裏側ブラジルで日本が「ホームグラウンド」のように戦うことができれば、代表史上最高の「W杯8強以上」が見えてきそうだ。