「ライ麦畑でつかまえて」のサリンジャー氏未出版作品 ネットで流出、ファンには朗報だが…

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   「ライ麦畑でつかまえて(Catcher In The Rye)」で世界的に有名な米作家、J・D・サリンジャー氏の未出版の短編小説3作品がインターネット上に流出していることが明らかになった。

   「ライ麦畑でつかまえて」の前編とされる短編も含まれ、専門家も「本物」の可能性が高いとしている。

ネタ元はオークションに出品されたコピー本か

天国のサリンジャー氏もガッカリ?(画像は野崎孝氏訳の「ライ麦畑でつかまえて」)
天国のサリンジャー氏もガッカリ?(画像は野崎孝氏訳の「ライ麦畑でつかまえて」)

   2013年11月27日、「スリー・ストーリーズ」とタイトルが付いた41ページの作品がファイル共有サイトに流出した。「ライ麦畑でつかまえて」の前編とされる「ボウリングボールだらけの海(The Ocean Full of Bowling Balls)」をはじめ、「誕生日の少年(Birthday Boy)」「ポーラ(Paula)」の計3作品で構成されている。

   「ボウリングボールだらけの海」の原稿はテキサス大学、ほか2作品はプリンストン大学の学術図書館でそれぞれ厳重に保管されているが、1999年にはこれらをコピーした作品集が、サリンジャー氏の許可なしにロンドンで出版されている。作品集は全25冊印刷され、今年9月には米オークションサイト「eBay(イーベイ)」に「6冊目」とされるものが出品された。今回流出したのは、オークションにかけられた作品集のコピーとみられている。ロサンゼルス・タイムズ紙の書評家デビッド・L・ウリン氏などの専門家はいずれも本物との見方を示しているという。

2060年まで出版認められていなかったはずが・・・

   1965年に「ハプワース16、1924年」を発表して以降は沈黙し、2010年に亡くなるまで作品を発表することはなかった。作品数こそ少ないが現在でも世界中で広く読まれ、多感な少年ホールデン・コールフィールドの饒舌な語り口が独特な代表作「ライ麦畑でつかまえて」(1951)は日本でも人気だ。野崎孝氏や村上春樹氏の翻訳で違いを楽しむファンも少なくない。

   ファンにとっては朗報とも思えるが、本物に間違いないとすれば、天国のサリンジャー氏本人はあまり歓迎していないはずだ。特に今回流出したとされる「ボウリングボールだらけの海」については死後50年、つまり2060年まで出版が認められていなかった、というのだ。

   ただし2013年8月には、ニューヨーク・タイムズ紙がサリンジャー氏の未発表作品のうち少なくとも5作品が新たに出版される見込みがある、と伝えていた。今回の3作品が含まれているかどうかはわかっていない。

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