「王座は移動しないのは常識的なルール」
2013年12月3日付のサンケイスポーツによると、試合前日の軽量でソリス選手が失格となったため、IBFは大毅選手が負けた場合は王座が空位になると説明していたが、その後のルール会議で「負けても陥落せず」のIBFルールをWBA側と確認し、亀田・ソリス両陣営に伝えたのだという。スポーツ報知は、会議に参加した嶋マネジャー談として「英語とスペイン語が飛び交う会議だった…(最終確認は)夜になってからだった」と報じている。現場でもドタバタ劇が演じられていたようだ。
さらに12月5日付の東京スポーツは、この会議にJBCも同席していたが、「負けても防衛」のルールは把握していなかったと伝え、背景に「言葉の壁があったようだ」としている。
土壇場まで関係者を振り回したIBFの不手際は責められるべきだろう。ただ、会議に出席していながら事態を把握していなかったとしたら、JBC側も「聞いていなかった」ではすまされない。また亀田陣営も二転三転したルール上の取り決めを、主管者であるJBCと最終確認しておくべきだったとの指摘もある。
JBCは長年、WBAと世界ボクシング評議会(WBC)の2団体にのみ加盟し、プロボクサーの世界戦出場を認めてきた。新たにIBFに加盟したのは2013年4月1日とごく最近だ。両団体の間で相互関係が構築しきれていなかったのかもしれない。
「負けても防衛」が試合前から決まっているなら、大毅選手のモチベーションに多少影響した可能性もある。しかも体重制限の枠が取り払われた相手のソリス選手は、当日の計量もパスするなどやりたい放題だった。大毅選手の兄の亀田興毅選手は12月5日付のブログで、前日1.4キロオーバーだった相手に触れ「1階級の体重差とほぼ同じ」と説明した。しかも試合当日18時の時点では2.4キロ超だったという。大毅選手に不利にはたらいたことは想像に難くない。
ブログでは、今回のように王者が計量をクリアして挑戦者が失敗した場合「王座は移動しないのは常識的なルール」と指摘。大毅選手はIBFルールにのっとってベルトを保持したのに「なんで返上せなあかんのかな」と疑問を呈した。