「百貨店やホテルなら安心・安全」という信頼感が揺らぐ
日本ホテル協会も加盟247ホテルのうち、34%にあたる84カ所で虚偽表示があったことを明らかにした。ホテル業界では、ホテルオークラやホテル椿山荘東京などの名門ホテルでも発覚。偽装表示の発端となった阪急阪神ホテルズは社長が引責辞任している。
消費者庁は、虚偽表示問題の広がりを受け、監視態勢を強化しようと景品表示法の改正を検討している。現在、違反業者には消費者庁が措置命令を出して改善を求めているが、都道府県にも権限を持たせ、よりきめ細かい調査や処分を行えるようにする。来年1月召集の通常国会に改正案を提出する予定だ。
虚偽表示が相次いだのは、消費者意識を軽視し、利益を優先させたという側面もある。百貨店やホテルに入るレストランは、割高なケースが多い。それでも消費者が支持するのは「百貨店やホテルなら安心・安全」という信頼感が一つの支えになっていたからだ。
一方、レストラン側は、少しでも食材調達費を下げて、利益率を上げたいと思っている。消費者が舌で食材の違いを見抜くことはほぼ不可能。それなら、似たような食材を使って、似たような味が出せれば、問題はない――との判断が働いたわけだ。
一度失った信頼を回復するのは容易ではない。業界挙げての徹底した対応が求められている。