ネットコメント欄での超過激な罵倒合戦 灘高生Tehuさん「若者が影響受けている」と心配

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   中学時代に「アイフォーン(iPhone)」の無料アプリ「健康計算機」を制作してダウンロード数1位となり、現在は灘高校に在籍する「高校生クリエイター」のTehuさんが、インターネットニュースへのコメント欄について論じている。

   匿名者による過激な言動に「10代が影響を受けている」と警鐘を鳴らす一方、最近は実名を明らかにしている人ですら罵倒し合っていると驚いた様子だ。

「『1つの意見しか存在しない』ことへの拒絶反応が起こる」

   Tehuさんは「東洋経済オンライン」で連載しており、2013年12月3日配信の回では「ヤフー」のコメント欄を取り上げた。「匿名言論界で、2ちゃんねると並ぶ巨大掲示板であることは間違いない」と位置付けるが、例えば特定秘密保護法案のコメント内容について「もうビックリするぐらい意見が偏っています」という。そのうえで「過激な内容に対する嫌悪感以上に、『1つの意見しか存在しない』ことへの拒絶反応が起こる」と述べた。

   「たかがネット」と識者は言うが、偏ったメディアの意見に10代の若者が影響されている――現役高校生であるTehuさんの実感だ。未来を担う世代が、一方的な視点だけにさらされ続けながら成長していくのは危険だと指摘する。

   匿名を隠れ蓑にネット上で中傷や罵倒をまき散らす問題は、今に始まったことではない。匿名だから無責任な発言をしても逃れられる、なら誰が書き込んだのかがわかるように実名制にすればいい、といった「匿名・実名論争」は以前から繰り返されてきた。だがどうも、実名が抑止力になるとは必ずしも言えないようだ。Tehuさんは、実名登録が基本のフェイスブックを例に挙げる。

   ヤフーニュースには、フェイスブックを使ってコメントを入れることも可能だ。投稿内容が反映されれば、フェイスブックに登録した氏名や勤務先、所属する学校名といったプロフィルが表示される。氏名をクリックするとフェイスブック本体のページに飛び、家族構成や交友関係といった詳しい「個人情報」があらわになる。見る人が見れば「本人特定」されるかもしれない。

   こうした「リスク」があるにもかかわらず、例えば近年関係が悪化している中国や韓国に関するニュースには相手国を口汚くののしるコメントが散見される。もちろん偽名を使っているユーザーもいるだろう。だが、普段は家族や食べ物の写真を載せているような人がいきなり「だから韓国は大嫌いだ」などと、豹変したかのように過激に怒りを爆発させているケースもある。

実名制が「罵倒コメント」のヘビーユーザーに拍車かけた?

   Tehuさんはこうした事態に「面食らった」という。フェイスブック上で、実名を出しているユーザー同士が罵倒し合っているのもたまに見かけるそうだ。似たような事例はツイッターでも起きている。著名人同士でもあり、池田信夫氏が竹田恒泰氏の発言について「この自称皇族は頭がおかしい」と書き込み、これに竹田氏が「名誉毀損に該当します」と応じてしばらくやり合った。

   実名公開は過激発言の書き込みの抑止力にはならない、という説もある。米オンラインITメディア「Tech Crunch」2012年7月29日付の記事によると、2007年に韓国で、利用者10万人以上のウェブサイトすべてに実名使用を強制したが、悪意のあるコメントはほとんど減少せず、効果なしとして撤回されたという。また米カーネギーメロン大学の2人の研究員が、実名制度と罵倒コメントの関係を分析したところ、実名制は1、2件程度しかコメントを書かないユーザーには防止作用が働いたが、11~16件以上投稿するようなヘビーユーザーは一向にひるまず、むしろ書き込みは増えてしまった。

   問題なのは匿名性ではなく、「キーボードという、口を通じない発言手段」なのかもしれないとTehuさんは考える。そこで、対立している相手が直接会って議論をすることが必要だと提案する。「理想」への第一歩になり得るだろうか。

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