北朝鮮の金正恩第1書記の後見人だとされる張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長が失脚した可能性が浮上した。2013年12月3日、韓国の聯合ニュースやYTNテレビが情報機関にあたる国家情報院の話として報じた。
張氏の側近が公開処刑されたとの情報もある。失脚が事実ならば、正恩氏が権力基盤の後ろ盾を失う形で、政治的に大きな変化が起こる可能性もある。
崔竜海・朝鮮人民軍総政治局長とのパワーゲームに敗れた?
張氏は故・金正日総書記の妹、金敬姫(キム・ギョンヒ)氏の夫にあたり、崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮人民軍総政治局長と並んで正恩氏の最側近のひとりだとされる。
聯合ニュースによると、張氏の側近にあたる李龍河(リ・ヨンハ)行政部第1部長、張秀吉(チャン・スギル)行政部副部長の2人が公開処刑されたという。
失脚の背景は定かではないが、YTNでは、張氏が前出の崔氏とのパワーゲームに敗れたとの見方を伝えている。
崔氏は10年3月に朝鮮人民軍「大将」称号を受けたのに続いて、12年3月に「次帥」に異例のスピード昇格を果たしている。
北朝鮮専門ニュースサイト「デイリーNK」のまとめによると、13年上半期に正恩氏が95回にわたって行った公開活動のうち、崔氏は72回に随行。張氏の25回を大幅に上回っており、崔氏が急速に正恩氏に接近していることが分かる。同サイトは13年7月に軍高位幹部出身の脱北者の話として、
「もし張成沢と崔龍海が衝突する場合、北朝鮮で前例のない政治的暴風が吹き荒れるだろう」
という見通しを伝えている。これが現実化する可能性も出てきた。