動画サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴの会長・川上量生氏が、インタビュー記事で「健全な『出会いの場』をつくりたい」と発言した。
ネットでは「昔から出会い系サイトだろ」「健全にしたいなら未成年閉め出すしかないじゃん」といった意見が出るなど、注目が集まっている。
川上会長「重要な問題は『出生率』の低さ」
話題になっている川上会長のインタビューは、2013年12月2日掲載の「週プレNEWS」の記事だ。ニコニコ動画に「リア充」が増加しているのでは、という主旨の質問に対して、「実は、サービスを始めた当初からそうなんです」と答えている。
川上会長はパソコン通信の時代から「非リア充的な文化圏」にいて、ITリテラシーが高く知的水準が高い「非リア充」な人々が日本の中心になると予想していた。ところがその後、ネットでは「リア充」な人々が主流派になり、「非リア充」な人々は「片隅に追いやられてしまった」。
そこで「非リア充」な人々を相手にするのではなく、「繁殖力があって、かつITのリテラシーが高いような、新しい世代のオタクを育てていくしかない」という考えに至り、ニコニコ動画を運営している。インタビュー中の「繁殖力」とは、文字通り生物が個体数を増やす「生殖」のための力という意味だ。
「今の日本で最も重要な問題は何かと言えば、『出生率』の低さですよね。だから僕は、健全な"出会いの場"をつくりたいんですよ」
「リアルな関係性を超えて匿名で新たな出会いを提供できる広場です。コミュニケーションの不足している現代に、そのための場を提供することは、僕らの大事な役割だと思っています」
と、その狙いを説明している。
出会い系が問題になるのは「犯罪性が絡んでくる場合」であるとして、「本来この少子化の時代においては、出会い系はむしろ国策で推進すべきもの」と重要性を強調した。
ニコニコ動画では2008年にユーザー自身が放送できる「ニコニコ生放送」を開始し、音楽やゲームなどの趣味を介したコミュニティの数が増加、ユーザー同士の「オフ会」も開催され、「一部出会い系サイト化している」などと噂されていた。
これらの「オフ会」は非公式なものが中心だったが、さらに2012年からはドワンゴ主催の大規模イベント「ニコニコ超会議」も開かれるようになり、運営主導でリアルでのコミュニケーションを促している。