天皇、皇后両陛下の53年ぶりのインド公式訪問は、現地でも大きな関心を持って受け止められている。そんな中、インド政府が思わぬ失態だ。
首相官邸の公式ツイッターが皇后美智子さまの表記を誤り、日本側から指摘されるまで気づかなかったというのだ。現地メディアからは「恥をかいた」という声も出ている。
インドでは首相が空港まで賓客出迎えるのは異例
両陛下は羽田空港を政府専用機で出発し、2013年11月30日夕方(日本時間同日夜)、首都ニューデリー近郊のパラム空軍基地に到着された。9時間のフライトを終えたばかりにもかかわらず、両陛下は疲れを見せずに笑顔でタラップを降り、出迎えたシン首相夫妻と握手。インドでは首相が外国からの賓客を空港まで出迎えるのは異例で、インドにとって今回の公式訪問が大きな意味を持っていることをうかがわせる。
だが、その裏で、インド政府が「痛いミス」をしていた。その主は首相官邸の公式ツイッター(@PMOIndia)。このアカウントには92万人以上フォロワー(読者)がおり、11月29日にはシン首相が06年、08年、10年、13年の4度にわたって訪日し、両陛下と会談する様子を収めた写真をツイート。ツイートには「歴史的なつながり」というタイトルがついており、両陛下のインド訪問の意義を強調したばかりだった。
首相夫人の名前を2度間違える
両陛下到着後の30日22時31分(日本時間)には、天皇陛下とシン首相がタラップの下で握手する写真を説明文付きでツイートした。その直後の22時35分には、皇后さまとグルシャラン・コール夫人が握手する写真がツイートされたが、これが問題視された。説明文が「Shrimati Gurshan Kaur greets HM Empress Kimicho of Japan on her arrival in India.」という内容で、皇后さまが「日本の皇后キミチョさま」になってしまったからだ。表記が間違っているという指摘を受け、このツイートはほどなく削除され、22時59分には「Michiko」と正しい表記で再びツイートされた。しかし、グルシャラン・コール夫人の正しい表記は「Gursharan Kaur」で、訂正したはずのツイートでも間違った表記を繰り返した。このツイートも、ほどなく削除された。
一連の事態を、チェンナイ(マドラス)を本拠地にするニュー・インディアン・エクスプレス紙は、12月1日、
「何人かのフォロワーが間違いを指摘したにもかかわらず、ツイートは少なくとも15分にわたって放置された」
と非難。ニューデリーが本拠のインディアン・エクスプレス紙は12月2日、
「ツイートはまもなく削除されたが、日本大使館が間違いに気づいた後だった」
と指摘。「政府はいくらかの恥をかいた」と論評した。首相官邸広報担当者は
「これ(ツイート)は誤字で、すぐに訂正された」
と釈明したという。
両陛下は12月6日に帰国予定だ。