各局はキックバックを否定しているようだが…
業界の事情に詳しい芸能関係者は、テレビ局のキックバックについて、「芸能界では、常識中の常識だ」と指摘する。
「ドラマだけではなくバラエティでも、『10%返し』が当たり前になっていますよ。タレントのギャラが100万円だとすると、うち10万円をプロデューサーが取ります。所属事務所が20~30万円を取りますから、タレントの取り分は、60~70万円にも下がってしまいます。それに比べて、プロデューサーは、出演者が5人なら、50万円も返ってくることになりますね。テレ朝の着服は、あくどいので見つかっただけですよ」
キックバックのお金は、個人の懐に入るので、車を買ったり家を買ったり、私的に流用されるのがほとんどだそうだ。また、「ギャラ返し」は、お祝いのときだけでなく、慣例になっているとした。
番組制作費は削られているものの、テレビ局の給料はそんなに下がっておらず、弱いところにしわ寄せが来ているという。
「力関係から、制作会社などの取り分が少なくなっており、倒産寸前の芸能プロダクションもごろごろあります。だから、必然的に安い番組ができ上がり、テレビの劣化が進んでいるわけです。キックバックの慣行は、テレビ局から免許を取り上げるかでもしない限りはなくならないでしょうね」
日テレで2003年にプロデューサーの視聴率操作とともにキックバックが明るみに出たとき、日テレの調査委は、「大まかな支払い方法」という業界の悪しき慣行があると異例の自己批判をした。しかし、各局は、キックバックが慣行になっていることは否定しており、現在もその立場に変わりはないようだ。とはいえ、タレントから次々にその実態が暴露されただけに、説明責任をどう果たすかが今後問われることになりそうだ。