乗客の問題行動が原因で、飛行機の出発が1時間半以上も遅れるという珍しい事態が起きた。
その理由は、「エコノミークラスの乗客だったのに、ワンランク上のプレミアムエコノミーの席に居座ったから」。その理由を突き詰めると、「窓側に座りたかった」かららしいが、なぜそこまでのこだわりを見せたのかは不明だ。
折り返し便も2時間以上遅れる
トラブルは、2013年11月30日に成田空港をニューヨークのジョン・F・ケネディ空港に向けて出発したNH1010便(ボーイング777-300ER型機)で起きた。飛行機を運航していた全日空(ANA)では、乗客個人が特定できる情報については明らかにできないと説明しているが、各紙報道や関係者の話を総合すると、問題を起こしたのは44歳の外国人男性だ。
この男性は、本来はエコノミークラスの乗客だったが、どういう訳かワンランク上のプレミアムエコノミーの座席に座っていた。飛行機がスポットを離れて滑走路を向かって走行している間に、客室乗務員(CA)が男性に対してエコノミー席に戻るように求めたが、男性は「窓側に座りたい」と拒否。どうやら男性はエコノミーで窓側の席が取れなかったことに不満を持っていたようだ。
男性はCAの説得に応じずプレミアムエコノミーに居座ったため、「機内迷惑行為」だとして、最終的には機長が男性を降ろすことを判断。男性を降ろした上で、当初の予定よりも1時間40分以上遅れた18時27分に再出発した。CAや他の乗客240人にけがなどはなかった。
このトラブルの影響で折り返しのNH1009便も遅れ、予定よりも2時間10分遅い12月1日の23時14分に成田空港に到着した。
今回のケースでは、離陸する前に男性を強制的に機内から降ろしている。国土交通省令では、「安全阻害行為」(機内迷惑行為)のひとつとして「航空機内の秩序若しくは規律の維持に支障を及ぼすおそれのあるもの」が挙げられており、今回のケースはこれにあたると判断されたようだ。仮にこのまま男性をプレミアムエコノミーに座らせたとしても、緊急事態にCAの指示に従わない可能性が高く、安全運航上のリスクが高まるという判断が働いた可能性もある。