送配電会社は契約増えないと値下げできない?
電力大手に使用料(託送料)を払って送電線を使わせてもらい、電気を送らなければならない新電力にとって、発送電が分離されれば、自社が発電した電気を送電する際に電力大手に払う「託送料」が安くなるとの期待がある。
これまで、「送電網を自由に使えない」「託送料が高い」といった不満があったのだから、「発送電分離」の実現が大きな前進であることは間違いないのだろう。
しかし、そんなにうまくいくのだろうか――。
発送電分離について、東京電力は「全体を制御しているからコストを抑えられるという部分もありますから、(発送電分離によって電気料金が)安くなるとは単純には言えないと思います」と話す。
「発電会社」は、できるだけ安く燃料を調達して発電し、電力を卸売り会社に売る。高く買ってもらえれば、それだけ利益が上がる。しかし、「送配電会社」は「託送料」が収入源だ。送電線の「メンテナンスの費用もかかる」(東電)。送配電会社が多くの利益を上げようとすれば、より多くの発電会社と契約し、多くの託送料を徴収しなければならない。また、契約者が増えれば、送配電に新たな設備投資が必要になる場合もありうる。
東電の託送料は1キロワット時あたり約2~4円弱。送電線は自由に使えるようになるかもしれないが、値下げはそう簡単ではない。