政府は、国家公務員給与を平均7.8%引き下げる特例措置を、2013年度末で終了することを決めた。年間約3000億円減額されてきた国家公務員の給与が、2014年度からは元に戻ることになる。
自民党内には14年4月から消費税率を8%に引き上げることから、「身を切る姿勢」を示すため、「減額を継続するべき」との声もあったが、人事院勧告を超えた特例的な引き下げであることを考慮して予定どおり2年間で終了することにした。
消費拡大、民間賃金の引上げ要請との整合性のため
国家公務員の給与は、2012年度から2年間、東日本大震災の復興財源を捻出するための特例措置として、手当を含めた総額から平均7.8%引き下げられている。
ただ、そもそも現行の国家公務員の給与カットは、「復興財源の捻出」が唯一の目的ではなかった。民主党政権時の野田佳彦首相が消費税の増税を決めようとしたとき、「まずは政治家や公務員は身を切れ」との大合唱が起こった。
野田首相としては「身を切る姿勢」を示すことでそういった声を封じ込めたかったし、民間企業でリストラによる給与削減が当たり前になるなか、公務員の高給批判が高まったこともある。
「7.8%」の引き下げで、国家公務員の給与は人事院勧告による給与水準を大幅に下回っている。2013年8月の人事院勧告によると、全職員の減額後の平均給与は月額38万4842円で、減額前に比べて2万9141円(7.04%)の減少となった。
政府は現行の給与が特例であることに加えて、安倍政権が消費拡大のため、民間企業に賃上げを求めていることとの整合性もあって、給与削減を打ち切る。
また、国家公務員に連動して給与削減を求められる地方自治体の反発が強かったことも、「削減打ち切り」の原因の一つ。政府は13年度、地方自治体に対して地方公務員の給与を、国家公務員と同じ水準に減額するよう要請し、地方交付税を削減した。
総務省によると、10月1日現在で全国1789の自治体うち、71.5%にあたる1280の自治体が、政府の要請などに基づき地方公務員給与を削減したが、その一方で255自治体(全体の14.3%)は「実施予定なし」と回答し、削減を事実上拒否した。
「交付税を削減し、職員の給与削減を迫るのは地方自治の根幹にかかわる」(北海道芽室町)といった反論は根強い。
国家公務員の給与削減の打ち切りに伴い、総務省は地方自治体に求めてきた地方公務員の給与削減を、14年度以降は要請しないことを通知。国と自治体の公務員給与を減額前の水準に戻すことで、アベノミクスの恩恵が広く行き渡ることを期待する。