NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の高速道路3社は2013年11月29日、14年4月から実施する新しい高速料金の割引案を国土交通省に提出した。
現行の割引料金はNEXCO3社の年間5000億円と、国が緊急経済対策で導入した年間4000億円で賄ってきた。割引の見直しは、国が負担してきた財源を14年3月末で使い切るためで、大幅に縮小せざるを得なくなっていた。
NEXCO3社「原資やり繰りして捻出」
新しい料金案は、自動料金収受システム(ETC)搭載車が対象。地方(東京と大阪の都市部を除く全国)で、平日の昼間(9時~17時)に実施してきた3割引を廃止。通勤割引(6時~9時、17時~20時)は現行の5割引をそのまま存続させるが、対象を1か月に複数回利用する人に限定し、要件を満たした場合に後日割引相当分を還元する。
休日は、現行の5割引から3割引に縮小する。たとえば、地方部の仙台宮城IC‐福島飯坂IC(許可上の料金は1900円)の休日割引は、現行で5割引の950円から3割引の1350円になる。
東京と大阪の都市部は、休日昼間の3割引を廃止する。夜間は現行の5割引から3割引に縮小し、割引する時間も22時~6時を、0時~4時に短縮する。
たとえば、大都市圏の厚木IC‐東京ICの休日昼間は、現行3割引の900円が、割引がなくなり1250円になる。
一方、トラックなどが利用する「大口・多頻度割引」の最大割引率を現行の3割から4割に引き上げる。渋滞の解消や地方の活性化などに効果が上がるよう配慮した。
NEXCO東日本は、「国費で賄ってきた割引が来年(14年)3月で終了することになりますから、できるだけ、その影響がないように考えています」と話す。
たとえば、「休日5割引」は当初NEXCO3社では設定しておらず、国が導入した制度だが、この部分をいきなり廃止すると地方の観光業などに支障をきたす恐れがある。そのため、「会社の原資をやり繰りして捻出」(NEXCO東日本)し、「3割引」にとどめた。
見直しのポイントは、割引の目的を明確にしたことだ。平日朝夕の通勤割引は、一般道の交通渋滞の緩和のため、高速道路の利用を促す生活対策、休日割引は、地域活性化のための観光振興、大口・多頻度利用割引は物流コストの上昇を抑える目的がある。目的を明確化することで、納得性をもたせた。
消費増税分の「値上げ」は確実
とはいえ、年間4000億円の国費が1000億円以下に大きく圧縮されようというのだから、割引率が下がるのは、もはや避けられない。
加えて、2014年4月には現行5%の消費税が8%に引き上げられる。消費増税に伴い、高速料金も「50円単位の引き上げになるかどうかは決まっていません」(NEXCO東日本)というが、NEXCO3社は増税分を上乗せする方針を固めている。
利用者にしてみれば、このままでは割引の縮小と消費増税の「ダブルパンチ」だ。
ただ、NEXCO3社が国土交通省に提出した料金案は、「決定」ではない。
今後は2013年度補正予算案で、国が高速料金について、どのくらい予算を配分するかによって、3割引が5割引になったり、廃止が3割引になったりする。
国交省は「割引するほど、NEXCO3社が儲ける機会を減らすだけになります」と厳しいことをいうが、利用者の負担がいくらか和らぐ可能性はある。