「赤字」ミクシィ株が「ストップ高連発」の不思議 新規ゲームへの期待か、それとも「投機対象」か

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「おいしかった銘柄」ガンホーの再来期待

   スマートフォン上で、画面のキャラクターを指で引っ張って操作しながら相手モンスターを倒していくルールは、分かりやすくて手軽だ。複数参加型の仕様で、例えば友人と集まった際に最大4人が参加して同じ内容のゲームを楽しめる。「アイフォーン(iPhone)」「アイパッド(iPad)」向けアプリを配信している「アップストア」の評価を見ると、好意的な書き込みが多く並んでいる。

   だがITジャーナリストの井上トシユキ氏に聞くと、リリース後1か月半ほどしか経過していない「モンスト」が、ミクシィの株価を3倍増させるほどの強いエンジンに育っているかは疑問だという。ある程度のユーザーは獲得したかもしれないが、本格的に収益の柱となり得るのはこれから、というのだ。

   今年、ゲームの大ヒットで株式市場をにぎわせた企業といえばガンホー・オンライン・エンターテイメントが浮かぶ。「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」効果で、5月には時価総額で任天堂を一時抜くほどの勢いだった。先のブルームバーグの記事では、今年1年で株価が7倍になったガンホーのように「『投資家にとって今年、最もおいしかった銘柄』の再来をミクシィに望んでいるという」と書かれている。

   井上氏は、現時点ではミクシィの株価をこれほどまでに押し上げる材料が見当たらないと話す。主力のSNS「mixi」では反転攻勢を目指しているが、フェイスブックやLINEに押されてジリ貧の印象がいまだに拭えない。そこで「mixi」で培ったノウハウを生かしつつゲームや、結婚支援サービスなどの「ライフイベント事業」に転換していくかもしれないが、今のところ明確な結果が出ているわけではなく、株価上昇の根拠とはなり得ないという。一方で、ネット系企業の株価は乱高下しやすい点を指摘した。実際にあるソフト企業の株価は、今夏に一時2000円台をつけたが、11月29日には700円台まで下げている。「推測ですが、ミクシィ株が投機に利用されている可能性は否定できません」と井上氏。

   再生への道筋が見えてきたと市場が評価したのか、それともマネーゲームに巻き込まれてしまったのか。株価の行方が当面注目される。

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