「関税割り当て」の検討も
また、政府は主食用米の輸入枠拡大と合わせ、重要5項目の一部の品目について、一定数量まで低税率や無税の輸入を認める「関税割り当て」の検討にも着手した。関税割り当てはこれまでも経済連携協定(EPA)で活用されてきた手法だ。政府は「聖域」と位置づける重要5項目は何とか守る形で、他国の高いレベルの要求に抗しようとしている。
ただ、こうした案に対し、米国をはじめ交渉各国が納得するか否かは別問題だ。重要5項目は米や麦のほか、牛・豚肉、乳製品、砂糖の計586品目にのぼり、これをすべて維持すると、自由化率は最大93.5%となお低い。米国などは最終的な自由化率を95%超に高めることを目標にしているとみられ、日本による多少の関税割り当てなどで合意が引き出せるかは微妙というしかない。
交渉参加12カ国は2013年12月初旬にシンガポールで開かれるTPP閣僚会合で「年内妥結」を実現するため、精力的な交渉を続けている。日本にとっては時間制限が迫る中での厳しい交渉となっている。