防空識別圏で中国外交が屈辱的大敗北 国際的に完全孤立、自衛隊機にも手出せず

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   国際社会を震撼させた中国の「防空識別圏」設置問題だが、発表から1週間を待たずして、早くも中国が「詰み」の状況に陥りつつある。日本、米国にやすやす圏内の通過を許したばかりか、肩を持ってくれる仲間も現れず、集まるのは各国からの反発ばかりだ。

   あまりに不甲斐ない「習外交」に、中国国民からもため息が聞こえ始める。

先ばっかりの「張り子の虎」だった

「張り子の虎」とまでコケにされた中国(外務省ウェブサイトより)
「張り子の虎」とまでコケにされた中国(外務省ウェブサイトより)
「米国の軍用機の通過を許し、日本からもフライトプランの提出を拒絶されている。もはや防空識別圏は『張り子の虎(紙老虎)』と思われているのでは」

   海外記者からの質問に、中国外務省の秦剛報道官は不快の色を隠さなかった。毛沢東の「名言」として知られる「すべての反動派は張り子の虎である」を、よりにもよってこんな形で持ち出されたからだ。秦報道官は、硬い口調でこう返すばかりだった。

「強調したいのは、中国政府には国家の主権と安全を守る決意と能力があるということだ。防空識別圏もまた、有効に『コントロール』されている」

   張り子の虎――そんな屈辱的質問を、すっぱり否定できないのが中国の現状だ。この前日の2013年11月26日(日本時間)、米国の爆撃機B52は、中国が設定した防空識別圏を悠々と通過していた。事前通告なしに侵入すればスクランブル(緊急発進)をかける、とあれほど予告していた中国だが、実際にはスクランブルどころか接触もなし。

   米国だけならともかく、28日には日本の自衛隊機も、この空域でこれまでどおりの警戒飛行を続けていることが明らかになった。航空会社に対し求めてきたフライトプランも、いったんはJALやANAなどから提出を取り付けたものの、現在は拒否されている。それでも、中国が直接行動に出る動きは見られない。元々専門家からは、「中国には航空機侵入をキャッチできる能力はない」と指摘されていたが、それを裏付けた格好だ。

米WP紙「中国の誤算」…国際社会の反応読めず

   周辺国からの反発も強まっている。日本、米国はもちろんのこと、オーストラリアからまで、「緊張を高めるあらゆる行為に反対する」(ビショップ外相)と強い批判を向けられた。中国側も「関係ない」と突っぱねたものの、さらに再反論を受けるなど、思わぬところに「敵」を作った形に。「友好国」と見込んでいた韓国も反応は冷たく、中立を決め込む。台湾を味方に引き込もうともするが、現時点では明確な支持を得られていない。

   海外メディアも連日、詳細な分析を掲載するが、ほとんどは中国に対し否定的だ。米ワシントン・ポストは28日、「中国の防空圏設置の動き、逆効果に」と題した記事で、「米国がすばやく日本の側についたのは、中国にとって誤算だった」との識者の見解を紹介、さらに今回の行動が、アジア諸国から中国が得つつあった信頼を後退させたと論じた。外交評論家の宮家邦彦氏も、28日放映の「朝ズバッ!」で、

「(海外からの批判が)わかっていたらこんなバカなことはしない」
「外交的に大失敗ですよ。世界中を相手にして孤立している」

と呆れたように切って捨てる。

中国では「笑えないジョーク」も…

   一方、中国の世論はこうした「圧迫」にいっそう激しく沸騰している。中国紙・環球時報が26日に発表したネット調査の結果では、防空識別圏に外国機が「侵入」した場合、59.8%が「警告の上、実弾を撃ってやれ」と回答した。それだけに、米軍機などをみすみす「取り逃がした」ことには、

「米軍機が我が国の防空識別圏を飛んでいるというのに、なぜ戦闘機を飛ばしてそれを止められなかった? これは重大な職務怠慢ではないのか?」(北京在住の微博ユーザー)

などと憤る人々が少なくない。挙句の果てには、こんなジョークまで流行っているそうだ。

「B52をなぜ撃墜できなかったのか? 確かな筋からの情報だが、実は捕捉してミサイルも発射していたんだ。ところが、そこでB52のパイロットが、『中国の高官が米国に持っている預金のリストを、今からそちらに送信しようかと……』。言い終わらないうちに、ミサイルは方向転換しちゃったんだとさ」
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