「赤ちゃん取り違えの悲劇」なぜ起きた 出産ラッシュで病院の手が行き届かなかった?

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赤ちゃんの取り違えの多くは、1965年から70年代に起こった

   前出の賛育会病院の産科は伝統のある部門で、現在も毎月約130人の赤ちゃんが生まれている。赤ちゃんの取り違えは、なぜ起こったのか――。

   賛育会病院は、「カルテの管理もいまは5年間ですし、(60年前では)残っているエビデンスも、勤務していた人の証言もなく、手がかりになるようなものがありません」と話す。

   しかし、時代背景から推測できることはある。赤ちゃんの取り違えの多くは、1965年から70年代に起こった。それまでほとんどの出産が自宅分娩だったが、病院などの施設分娩は1955年に17.6%だったが、それが65年には84.0%に、70年には96.1%にまで急増した。

   一方、1971~74年には第2次ベビーブーム(団塊ジュニア世代)もあった。出産ラッシュで病院の手が行き届かなかったのかもしれない。

   もちろん、現在では管理が徹底され、赤ちゃんの取り違えが起こることはほとんどない。

   賛育会病院は、「現在は個室分娩なので、(取り違いは)考えられません」と断言。赤ちゃんは出生後すぐに足の裏にマジックで、母親の名前が記される。足首には「○○ベビー」と母親がわかるようネームバンドが巻かれ、そこには性別や出生日時、体重なども記載される。「どこの病院でも行っているような、採り得る防止策はすべて実施しています」という。

   ネームバンドが手首と足首の2か所に付けたり、母親にも同じものをつけるといった取り違え防止策のほか、最近では頼めばDNA検査もやってくれる。夫の立ち会い分娩が増えていることも、取り違え防止につながっている。先進的な病院では、赤ちゃんの連れ出し防止にセンサー内蔵のネームバンドが巻かれて、出入り口で警報が鳴る仕組みになっているそうだ。

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