エイズ検査目的の献血、輸血感染 過失致傷罪に問われる可能性

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刑事罰適用はこれまでなく、「法整備が必要」

   ただ、献血によるHIV感染で、刑事罰に問われたケースはこれまでにない。問診票に虚偽申告をしたことそのものを罰する法律もなく、板倉宏氏は、「今後は、法整備も必要だと思います」と言っている。罰せられることになれば、虚偽申告をなくすことも期待できるようだ。

   海外では、オーストラリアが献血時に虚偽申告をした場合の刑事罰を導入している。厚労省の専門家検討会では、今回の問題が発覚した後に、こうした事例が紹介された。

   しかし、厚労省血液対策課では、罰則については検討会で議論にはならなかったとした。議論したのは、虚偽申告すれば重大な結果を招くことを自覚してもらったり、保健所などのエイズ検査を受けやすくしたりするための方策についてだという。

   また、罰則については、検討している状況ではないとした。その理由については、「献血は基本的に善意でお願いしており、慎重に考えていく必要がある」からだと説明している。

   日本赤十字社でも、「献血はウソを疑う前提はなく、善意で協力してもらっている」(経営企画課)と言っており、罰則化で献血者が減ることを懸念している。また、献血は安全でないとの印象を与え、信頼を失ってしまう恐れもあるという。

   とはいえ、検査のすり抜けを完全に防止できる態勢ができていない以上、今後も罰則化が議論されることになりそうだ。

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