電気事業法改正、発送電分離できるか 大手電力に異論根強く、骨抜きの恐れ

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

米国では設備投資が抑えられ、大規模停電起きる

   今回の法改正は第1段階の部分。第2、3段階の関係は同法の追加改正が必要で、政府は来年の通常国会以降に改正案を提出する。

   今後の改革で、特に問題になるのが「発送電分離」だ。これまで「地域独占体制」を続けてきた大手電力には反対論が根強く、法案成立を受けて電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は「発送電分離は、安定供給を損なわないよう、分離を補完する仕組みやルールを慎重に整備していく必要がある」とのコメントを発表し、早速慎重姿勢を見せた。原発停止でコストが上がり、料金値上げなど困難な状況に追い込まれているだけに、「収支が厳しい中で(電力会社の)組織をいじると資金調達に大きな影響が出る」(北陸電力の久和進社長)との懸念を訴える。

   公益事業の自由化では、1985年の電電公社民営化が先輩格だが、圧倒的な資本力があるNTTが市内通信網を独占するという優位な立場を温存し、新電電との競争はなかなか進まなかった。電力でも、新規参入が思うように進まなければ、既存大手電力の優位固定化で料金が高止まりする可能性もある。

   足元では、中部電力が新電力のダイヤモンドパワー(東京)を買収して東電のエリアに殴り込みをかけたほか、関西電力も首都圏への参入を表明するなど、大手間の競争が始まりつつあるが、全体からみれば、まだまだごく僅かだ。

   米国では発送電を分離した結果、送配電網への設備投資が抑えられ、大規模停電を起こしたのは記憶に新しい。今後の詳細な制度設計では、供給責任を最終的にどこが負うのかなど、詰めるべき点は多い。

1 2
姉妹サイト