日本側は絶対に手を出してはいけない
とはいえ、すでにいったん設置したからには、それを最大限「活用」してくるだろう――そう読むのは、元航空自衛隊空将で軍事評論家の佐藤守氏だ。
「『防空識別圏』を日本や米国の航空機がクロスする場合、意地でもスクランブルをかけてくるでしょう。問題は、自衛隊機や米軍機に対し、中国側がどういう対応を取るかです」
すでに尖閣周辺では、1月に発生した中国艦船による海自護衛艦への「ロックオン」事件など、「危うい」事態が複数回起きている。中国側と日米が日常的に角突き合わせる状態になった場合、日本側が懸念する通り「不測の事態」も起こりかねない。佐藤氏はそれこそが中国側の狙いだと言う。
「起こりうるとすれば、尖閣上空の領空域に入った自衛隊機に対し、中国側が挑発を仕掛けてくるようなケース。しかし日本がここで手を出そうものなら、中国は一気に乗じてくる。私ならば、『たとえ一番機が落とされても、こちらから先に撃ってはならない』と指示するだろう」