「金額が大きいので、印鑑か拇印を押すのが普通」
河原崎弘弁護士は、さらに、悪質な場合は、刑事罰を科されることもありえるとした。
故意に印紙税を納めなかった場合は、印紙税法第21条で「三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされ、印紙税を知らなかった場合は、第22条で「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」とされる。
ただ、国税庁の担当者によると、行政罰は現在でも適用になることがあるが、刑事罰が適用になったことはこれまでにないそうだ。
また、借用書に印鑑が押されていなかったことについて、河原崎弁護士は「5000万円と金額が大きいので、印鑑がなければ拇印を押すのが普通でしょう。それがないのは不自然ですね」と首をかしげる。返済期日も普通は書くといい、借用書も特別秘書が返しに行ったときに渡すものではないかとした。
さらに、猪瀬直樹知事が書いた「5000万円」と、その前にあった「金」の表示との間が空いているのもおかしいという。それは、間に数字を書き入れられてしまう恐れがあるからだと説明した。
ただ、貸した側のサインや捺印は、借用書では書かないことの方が多いとしている。
借用書について、河原崎弁護士は、こんな懸念も示している。
「お金を返した場合は、借用書も返してもらえます。ですから、いくらでも自分で作ることができるんです。そういう疑問は、どうしても残ってしまうことになりますね」