「ゆるキャラ日本一」を競う「ゆるキャラグランプリ」。過去に1位に輝いた「ひこにゃん」や「くまモン」は、今や全国区の人気を誇る。
4回目となる2013年も盛況のうちに幕を閉じたが、終了後に兵庫県尼崎市の非公式キャラクター「ちっちゃいおっさん」がツイッターで怒りをぶちまけた。運営の不備を指摘して「もう出えへん」と次回以降の不参加を明言したのだ。
露出が多かったのに21位から49位に後退
ちっちゃいおっさんは、ツルっとした頭にほんのり赤ら顔、ランニングシャツにジャージのズボンを身につけ、下駄ばきの格好をしたキャラクターで、軽快なトークが特徴だ。2013年11月23、24日に埼玉県羽生市で開かれた「ゆるキャラさみっと」に登場すると、壇上から観客に向かって「只今ご紹介にあずかりましたトム・クルーズです」と冗談を飛ばし、突然なぞかけを披露して会場をわかせた。得意の話術で、芸人顔負けの面白さをアピールする。
「さみっと」では2日間続けて司会進行役を任され、ブログやフェイスブックのページには多くの写真とともに「最高におもろくて幸せな2日間やったで」「感謝感激アメあられやったわ」と喜びのコメントを残している。ところが、ツイッターの発言内容は様子がガラリと変わる。「さみっと」で発表されたグランプリの投票結果について、こうつぶやいたのだ。
「みんな発言しづらいやろからワシがあえてちっちゃい事言わしてもらう。正しいと思えへん!」
不満爆発だ。順位をみると49位で、2012年の21位から大きく後退している。続けて「エントリーしても掲載してくれへんかったし」とぼやき、「今の体制じゃ応援してくれるファンさんや協賛さんもかわいそうやしワシはもう出えへん」と言い切った。その後フォロワーからは「どう考えてもおっさん1位」「某女性誌によると、おっさんはダークホース、つまりとんでもなく上位狙える位置にいた筈」などと励まされると、「その時点で実行委員会のいい加減さがわかるよね」と応じた。運営側への不信が相当募っているようにみえる。
J-CASTニュースは、ちっちゃいおっさんにコンタクトを試みた。電話口で「なんで去年より順位が下がったのか分からんわ、ガハハ」と笑うが、心なしか悲しそうだ。ファンや協賛してくれた人たちを落胆させたくないと、何度も繰り返した。
サイト掲載されたのは投票開始日から4日後
ツイッターの投稿について詳しく聞いた。グランプリへのエントリー後、投票サイトに掲載されるまで10日~2週間程度かかったというのだ。確かにツイッターで当時の様子を探ると、ファンの間では「ちっちゃいおっさん、まだエントリーしてないの?」といぶかるつぶやきが複数見られる。ようやくサイトに掲載されると本人が「ちゃんとエントリーしたのに、なぜか掲載してもらえへんかってだいぶ出遅れてもた」と明かしていた。これが2013年9月21日で、投票の受付はその4日前にスタートしている。
はっきりとした原因は不明だが、確かなのは、投票初日からサイトに掲載された他のキャラクターと比べて期間が短くなったということだ。掲載が遅れたことで「今回は出ないのか」と思われるような、言わば「逆アナウンス効果」になった恐れもある。いずれも得票上不利になった可能性は否定できない。
それを差し引いても、去年から大幅にランクを落とした現実に、ちっちゃいおっさんは首をひねるばかりだ。13年1年間は各種イベントへの参加がかなり活発で、関連本やDVDが出版された。テレビの番組にも数多く出ており、過去1、2か月だけを調べても、例えば11月11日には、「笑っていいとも!」(フジテレビ系)でふなっしーと共演、また10月19日放送の「さんまのまんま」(関西テレビ)には「ひとり」で出演した。フェイスブックの「いいね」は1万7000近くを集めているが、今回のグランプリでトップ10に入ったキャラクターの中には、「いいね」が数百というのもあり、文字通りケタ違いで多い。ツイッターでも7万3000超のフォロワーを持つ。
もちろん、メディア露出の多さやネット上での支持がそのまま投票数に結びつくとは限らないが、上位に食い込めるほどの知名度や人気がありながら、なぜ去年の順位から急落したのか不思議だ。次回不出馬を宣言した後、「盟友」のふなっしーはツイッターで、「票を集めることよりも皆の笑顔を集めてるおっさんを尊敬してるなっしよ」となぐさめていた。
J-CASTニュースは、ゆるキャラグランプリ実行委員会に、ちっちゃいおっさんがエントリー後にサイト上にしばらく掲載されなかったとされる点について確認するために11月26日に問い合わせ、現在回答を待っている。