NHKは大みそかに放送する「第64回紅白歌合戦」の出場者が決定した。出場歌手は紅白合わせて51組で、前回の50組より1組増え、初出場となったのは、紅組3組と白組6組を合わせて計9組だ。
中でも世間を驚かせたのは、初出場歌手として登場する泉谷しげるさん(65)の起用だ。泉谷さんは70年代には、いわゆる「フォーク」世代の歌手として活躍し、「春・夏・秋・冬」などのヒットもある。75年には井上陽水、吉田拓郎さんらとフォーライフレコードの設立に参加した。しかし近年は俳優などの活動が中心になっていただけに、なぜいま泉谷さんなのかと注目が集まった。
「もっと出たい人がいるんだからさぁ」
2013年11月25日、東京・渋谷区のNHK放送センターに集まった報道陣の前で、出場歌手の発表会見が開かれた。ステージに覆われていた幕が開けられると、初出場の歌手の面々のひとりとして中央に座る泉谷さんに報道席はざわついた。
泉谷さんのあいさつの番になり、
「このなんとも言えない違和感。おまえら(報道陣)、なんでいるんだろうみたいな、そのフラッシュの焚き方やめろ、このやろう。どうせ使いもしないくせに!」
と荒々しくしゃべり、会場を沸かせた。
紅白出場歌手に選出されたことには、
「おれとしても何のドッキリかと思って来たら、ほんとなんだこれ。やめとけNHK、少しは考えろっての。もっと出たい人がいるんだからさぁ」
と、本人も驚いた様子だった。
「(大晦日は)40年間仕事してないんだよ。すき焼きパーティーがあるんだよ31日までは。わざわざNHKに出るということで、おそらく家族から大攻撃がくる、どうしてくれるんだよ。書いとけそこ!」
とサービス精神旺盛に語った。
その後、初出場のシンガーソングライターのmiwaさんの礼儀正しい挨拶の後に、司会の有働アナから、「泉谷さん、今のがあるべきあいさつの形です」と突っ込まれると、「なんでお前に注意されなきゃいけねえんだ」と言って、また会場を笑わせた。
質疑応答では、紅白歌合戦にオファーされたのは初だと言い、
「(紅白は)興味ないですねー。40年間見てなかったんですけど、最近ではダウンタウンの裏番組を子供が見ていて」と言いつつも、「去年の美輪明宏さんが『ヨイトマケの唄』を7分間ノーカットでやったのは圧巻でした」と、実は見ていたことを明かした。