猪瀬都知事5000万円は罪になるのか 専門家「借用書あるかがカギ」

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   猪瀬直樹東京都知事が徳洲会から5000万円を受け取ったことについて、専門家は、「借用書」があるかがカギになるとの見方をしている。それによって、罪に問われることのあるなしを含め、違法性が違ってくるというのだ。

   「えー、あのー」。理詰めの語り口で知られる猪瀬直樹知事が、5000万円について記者団からただされると、途端に歯切れが悪くなる。会見では、主張が二転三転して、だれかに言わされている印象すら与えた。

「借用書ないと、選挙資金と疑われる」

借用書は公開できるのか(13年5月撮影)
借用書は公開できるのか(13年5月撮影)

   報じられる徳洲会側の発言とも、真っ向から食い違ってきている。

   5000万円について、徳洲会側は、猪瀬知事から当初は1億円以上もの要請があったと証言したというが、知事本人は「100%ありません」と要請を全面否定した。選挙資金だったという証言についても否定し、個人の借入金だと主張している。

   さらに、徳洲会側が借用書は見たことがないとしたことに対しても、猪瀬知事は、借用書は書いたと反論していた。

   お金のやり取りに仲介者がいたことも食い違いの原因になっているようだが、専門家は、借用書があるかが今回の問題のポイントと見ているようだ。

   2013年11月25日放送のTBS系「朝ズバッ!」に出演した慶大法学部の小林良彰教授は、その理由についてこう述べた。

「個人のものなんだというならば、やはりそれを証明するものが必要になります。そのうちの1つは、最低限借用書が出てこないとまずいです」

   つまり、借用書がないと、お金を受け取ったのが知事選直前だけに、選挙資金ではないかと疑われても仕方がないということだ。

   公職選挙法違反(虚偽記載など)に問われる可能性があるほか、知事が病院や福祉施設の許認可権などを持つことから、贈収賄の疑いも出てくるようだ。また、小林教授は、借用書が出てきても、無利子・無担保で年率3~4%として、10か月で100万円以上にもなりうる利益が贈与とみなされる可能性も指摘した。

「特捜部は、贈収賄を視野に入れ捜査」

   元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、J-CASTニュースの取材に対し、借用書が出てきたケースについて、こう解説する。

「政治団体が5000万円を受け取ったという借用書なら違法になりますが、借主が個人であったとしたならば、公選法違反とは取られにくいと思います。ただ、今回は無利子・無担保というので、それだけの金額の利子は利益とみなされて、賄賂にはなりうるでしょう」

   一方、借用書が出てこないケースについては、普通に考えれば、選挙における寄付とみなされうると言う。

「口頭による借入金の契約もありえますが、徳洲会側が借用書はなかったと主張し続けるなら、時期的にも寄付という解釈で落ち着くはずです。また、利益供与全体が贈収賄に問われることもあるでしょう。東京地検特捜部は、贈収賄を視野に入れて捜査していると思いますよ」

   特捜部が事件として立証できるのかについて、若狭弁護士は、公選法違反ならそれほど難しくないとみる。それは、借用書が出てこず、徳洲会側が、トーンダウンせずに選挙における寄付と言い続けた場合だ。

   ただ、贈収賄については、ハードルが高いと言う。

「事前収賄なら、知事になる前に、徳洲会側から具体的な要件の依頼があったことを立証しなければなりません。一方、副知事のときに便宜供与し、そのお礼を受け取る単純収賄なら、定数で4人いる副知事のうち、医療・福祉分野を担当していれば立証はしやすくなります。ただ、徳洲会側も贈賄罪に問われることになりますから、口が堅くなることは考えられますね」
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