「自殺方法の報道」はNG WHOも呼びかけ
近江八幡署に取材したところ、現場では女子生徒のスマートフォンも発見されたという。話題になっている動画もすでに把握しており、本人との関連について調査を進めている段階だ。しかしインターネット上の過熱ぶりとは裏腹に、一部スポーツ紙を除き、大手新聞各紙はこの動画について一切報じていない。どこの記事をみても、事実として分かったことを最小限、抑制的に報じているのみだ。
複数の新聞社に問い合わせてみたが、「取材の中身、編集方針については、従来からお答えを控えさせていただいています」(毎日新聞社)、「個々の記事の取材経過などの詳細についてはお答えしていません」(朝日新聞社)などと具体的な話を聞くことはできなかった。
実は、自殺報道については、過去に何度も過剰な報道による「連鎖自殺」が指摘されたこともあって、大手マスコミは「自主規制」のルールを設けている。
たとえば朝日新聞社の事件報道の手引書「事件の取材と報道2012」では、原則として「自殺の詳しい方法は報道しない」「原因を決めつけず、背景を含めて報道する」などの注意点を細かく列挙している。今回の報道は現在のところ、そうしたガイドラインに沿ったものといえそうだ。
なお自殺報道を巡っては、WHO(世界保健機関)もメディア関係者に向けた手引きをまとめており、「自殺を、センセーショナルに扱わない」「自殺の報道を目立つところに掲載したり、過剰に、そして繰り返し報道しない」「自殺既遂や未遂に用いられた手段を詳しく伝えない」などと呼びかけている。