「東ロボ(とうろぼ)くん」というロボットをご存知だろうか。これまでに蓄積された技術を結集した「人工知能」で、目下東京大学合格を目指している。
そんな東ロボくんが、初めて予備校の模擬試験に挑んだ。センター試験の模試では全受験生の平均に及ばなかったが、東大模試の数学では何と東大の合格者平均を上回ったという。
文系数学は偏差値59.4、理系数学は61.2
東ロボくんは、代々木ゼミナールの全国センター模試の国語、数学IA、数学IIB、英語、日本史B、世界史B、物理Iと、東大入試プレ(代ゼミの東大模試)の文系・理系の数学を解いた。問題文解釈に人の手助けが必要な部分があり、言語処理の一部で人による介入を許した。結果は、2013年11月23日に開催されたイベント「ロボットは東大に入れるか2013」で発表された。
解き方は各科目によって異なり、例えば歴史では、プログラムに教科書の情報をまるごと組み込み、それをもとに問題を解く。数学では、プログラムに組み込まれた日本語をコンピューターの言語に訳すための辞書を用い、日本語の質問を数式に変換して問題を解く。質問が複雑になってくると正答しにくいという欠点があるようだ。
センター模試では900点満点中387点、偏差値45と、東大に合格できる成績ではなかったが、東大プレの文系数学は偏差値59.4、理系数学は偏差値61.2だった。この数字は、13年春の東大合格者が受験生だった時に受けた東大プレの数学の偏差値の平均を上回っている。正答率2%という超難問も、見事正解したという。
代ゼミ担当者「いつでもこんな成績が出せるわけではない」
センター模試の結果は思わしくなかったが、東大プレでは「東大合格者の平均を上回った」ということに驚いた人が多いようだ。ネット上では「センターはズタボロだけど東大理系2次試験の偏差値61.2らしいぜ……」「東大数学模試で60だったら一般模試なら65は超えるってことじゃん」「今のロボットは凄いな…」などと書き込まれている。
代々木ゼミナールの担当者によると、「東ロボくん」は論理的な問題が多ければ高得点を叩き出せるが、不得意分野には全く歯が立たない。まだまだ対応できる問題とできない問題に差があるため、いつでもこんな成績が出せるわけではないという。
ただ、人間用に作った問題で人工知能がこれだけの成績を取ることは確かに驚くべきことだと話していた。