メールをしている最中、気が付くと呼吸が止まっている――そんな症状が米国のネットで注目され、自覚症状がある人もあらわれた。
眠っている最中、知らないうちに呼吸が止まっている「睡眠時無呼吸症候群」がここ数年で知られるようになったが、これは起きているときのことだ。健康体の人でもパソコンに向かっているときに、息を止めてしまうことがあるらしい。
精神的安定、仕事の効率性にも影響か
2013年11月20日掲載のギズモード・ジャパンの記事によると、米ギズモードの記者Adam Clark Estes氏が、集中してパソコンに向かっているときに、軽い頭痛がすることに気付いた。頭を振って数回呼吸するとなおるが、数分以内にまた同じ現象が起こってしまう。比較的健康体であるという。これが「Eメール無呼吸症候群(email apnea)」だという。
もとは2008年に元アップル役員でコラムニストのLinda Stone氏が、Huffington Postで使用した造語だ。Stone氏自身がメールの最中に呼吸を止めていることに気づき、これを記事にしたことで話題になった。
Stone氏の定義では「Eメール無呼吸症候群」は、メールをしている最中や、スクリーンの前で仕事をしているときなどに、呼吸が浅くなったり止まったりすることを指す。
医者にかかって薬をもらうような病気として認められているわけではないが、Stone氏の記事によると、「Eメール無呼吸症候群」がストレスレベルを増大させるだけでなく、立ち振る舞いや精神的安定、仕事の効率性にも影響を及ぼしている。「80%の人がこの症状にかかっているようだ」とも主張しており、多くの人にこの症状が出ている可能性があるということらしい。
日本でこのことが報じられると、
「あるある。私はかなり止まってると思う」
「確かに深刻なメールのとき、息を止めてる気がする笑」
「ああ、あたしも忙しい時しょっちゅう息してないと思うことあるわ。」
などと、思い当たる節があるという人もツイッターに現れた。
原因はメールのストレス?
ギズモードの記事では、「Eメール無呼吸症候群」が起こる原因の仮説を、Stone氏から聞いている。1つ目にあげたのは、パソコンを利用しているときの姿勢という物理的な問題だ。背中を丸めるなどイスに座る姿勢が悪いと、当然のことながら呼吸がしづらくなる。
2つ目は、メールによるストレスが心拍数に与える影響などの感情的な問題だという。カリフォルニア大学のGloria Mark氏とStephen Voida氏による研究結果をあげた。メールとストレスには関係があり、メールを読まないようにすると心拍数が下がることすらあるそうだ。
また、一日中パソコンの前に座っていることで、自律神経の闘争・逃走反応が常に働き、心拍変動が激しくなるため疲れ果ててしまう。これらの要素が、無呼吸になる原因として考えられるという。
座り仕事ではパソコンの前に長時間いることは避けがたいが、立ち上がって他の人とアイコンタクトをとるだけで、「Eメール無呼吸症候群」の予防法になるとしている。