2014年にブラジルで開催されるサッカーワールドカップ(W杯)の出場32か国が出そろった。対戦カードを決める抽選会の日も迫ってきている。
日本代表は当然、前回の南アフリカ大会の「16強」より上をねらうが、今回は強豪国が違う枠(ポッド)に分散する可能性が高く、優勝候補のチームが名を連ねる「死の組」に入り込むかもしれない。
「ブラジル、オランダ」「スペイン、イタリア」と同組も
W杯の組み合わせについて、ブラジル大会の詳細は発表されていないが、過去の大会の方式を踏襲することが有力視されている。32か国を4つのポッド、8か国ずつに分け、4チームごとにA~H組がつくられて予選リーグを戦い、上位2チームが決勝トーナメントに進むものだ。
すでに決まっているのは、開催国のブラジルと、国際サッカー連盟(FIFA)の上位1~7位の国で構成されているシード8か国で、これが「ポッド1」に入るとみられる。日本はこの中に含まれないので、いずれかの国と必ず対戦する。
問題は他のポッドだ。最近の大会と同じだと仮定すると、「アジア、北中米カリブ」の8か国がポッド2となり、日本はここに入る。ポッド3は「シード国を除く南米、アフリカ」だが、南米出場国のうち4か国が開催国枠とシード国でポッド1に振り分けられたこともあり、ここには計7か国しか該当しない。一方、ポッド4に入る「シード以外の欧州」が9か国となるため、1チームがポッド3に回るとみられる。有力なのが、FIFAランクが欧州出場国で最も低いフランスだ。
今回の特徴は、シードに選ばれた中に「中堅」と位置づけられる国が入っている点だ。FIFAランクにより決定されているため、前回大会不出場だったベルギーやコロンビア、同じくグループリーグ敗退のスイスが入っている。一方、欧州予選1位通過だったイタリア、オランダ、イングランドに加えて前回ベスト16のポルトガルはポッド4に振り分けられるだろう。欧州の「2番手」に当たる国でも、優勝を十分に狙える実力を備えている。
日本からすれば、ポッド1と4からどの国が自分の対戦相手になるかによって、グループリーグの成績に大きく影響しそうだ。たとえば「ブラジル、オランダ」「スペイン、イタリア」「ドイツ、イングランド」と同じ組に放り込まれると、さすがに苦戦は免れないだろう。残りのポッド3にも、FIFAランクでブラジルに次ぐ12位のチリ、前回大会8強のガーナ、さらにはフランスなどと、楽をして勝てる国は見当たらない。
スイス、アルジェリア、ボスニア・ヘルツェゴビナなら「最高」
FIFAランクだけをみると、現時点で44位の日本より低いW杯出場国は、グループリーグで顔を合わせないアジア勢を除くと59位のカメルーンただひとつ。ほぼすべてが「格上」になる。とはいえ、ファンからすれば「少しでも勝てる可能性のある対戦相手」を望みたいはずだ。
サッカー専門メディア「サッカーキング」が11月21日、動画サイトの生放送で実施した「日本代表におけるブラジルW杯の最高の組み合わせ、最低の組み合わせ」の視聴者アンケートでは、「最高」の組み合わせとしてスイス、アルジェリア、ボスニア・ヘルツェゴビナが、また「最低」のカードはブラジル、チリ、オランダが選ばれた。スイスはシードの中で最も順位が低い。アルジェリアは過去に出場したW杯ではすべてグループリーグ敗退で、ボスニア・ヘルツェゴビナは初出場だ。これまで日本が大きく負け越しているブラジルやアルゼンチン、優勝経験のあるドイツやスペインといった国と比べるといずれも「歯が立たない相手ではない」という見方なのかもしれない。
日本代表は11月の欧州遠征で成果を上げた。オランダ戦では2点ビハインドから追いついて引き分けに持ち込み、ベルギー戦は「世界5位」を3-2で撃破するなど上り調子だ。相手がベストメンバーとは言えなかったかもしれないが、それを差し引いても、敵地で強豪を破った意義は大きい。2010年の南ア大会では直前の不振から「3戦全敗でグループリーグ敗退」を予想するサッカー評論家もいたが、カメルーンとデンマークから白星をもぎ取って決勝トーナメントに進んだ。たとえランキングが上位でも「大物食い」をする可能性は十分にある。
ザックジャパンの命運を左右する抽選会は、12月6日(日本時間7日深夜)に予定されている。