看護協会が医療安全推進のテキスト発行 対応策などを具体的に

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   すべての医療機関で安全な医療を実現しようと、日本看護協会が取り組んでいる。同協会はこの秋、具体的な取り組み方をまとめたA4判80ページの「医療安全推進のための標準テキスト」を発行し、今後、この内容の普及をめざす。そのお披露目にもなった今年度の「拡大医療安全推進会議」が2013年11月14日、東京で開かれた。

事故時のフローチャートも

   会議には都道府県協会の役員や医療安全の担当者が集まった。まず、福井トシ子・常任理事が、テキストに至るまでの看護協会の取り組みを説明した。出発は横浜市大での患者取り違え事件などが起きた1999年で、看護協会はこの年、看護管理者のためのガイドラインを出し、2000年には医療安全管理者の養成、2001年には看護職賠償責任保険制度をそれぞれスタートさせた。医療安全管理者は3500人を超え、賠償保険は約15万人が加入、昨年度までに52件が支払い対象になった。大きな病院の安全は高まったが、地方の中小病院では院長次第で、看護師も勉強の機会が乏しいことから、すべての看護師を対象としたテキスト作りをすることになった。

   続いて松月みどり・常任理事がテキストを解説した。人間である限り間違いがあるが、個人を責めず、すぐに報告する文化が重要で、安全体制の取り組みや確立を強調した。そのための組織体制作りや、誤薬、転倒・転落など看護に多い間違いの対応策など簡潔ながら具体的に書かれている。さらに、万一、事故が起きた時の初期対応策、記録、関係機関への報告、家族への説明、さらには事故原因の分析や公表の仕方、法的な責任などの中長期的な対応策もまとめてある。一目でわかるようにと、神奈川県看護協会が作った、事故時の対応フローチャートなども載っている。

   松月さんは「このテキストで医療機関の安全に対する意識や対応の格差をなくしたい。また、訪問看護ステーションなど介護・福祉分野の看護師、さらには看護師以外の医療職のみなさんにも活用していただきたい」と話していた。会議では、医師や弁護士も交えたパネルディスカッションや、参加者全体での討議も行われた。

   テキストは全国の病院へ配付したほか、協会のホームページ(看護者向け、医療安全情報)に掲載されている。また、希望する会員の施設などには送料のみで配付する。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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