ワイン好きが解禁に沸くなか、「ボージョレ・ヌーボー」が値上がりしている。アベノミクスによる円安(ユーロ高)の進行で、輸入ワインの価格に影響が出ているのが背景だ。
最近の1年で円はユーロに対して32%も下落。ユーロ圏からの輸入品の価格は単純計算で約3割上乗せされている。
輸入自転車、平均単価の上昇は「円安の影響」
米ウォルマート傘下の西友は売れ筋の750ミリリットルの「ボージョレ・ヌーボー」を2012年に比べて220円値上げして870円で販売。ドン・キホーテは同じサイズを国内最安値の670円からの価格で販売している。前年の490円から180円高く設定した。
サッポロホールディングスも平均で約10%値上げ。サントリーワインインターナショナルは出荷価格を約7%、キリンホールディングス傘下のメルシャンも数%引き上げた。
値上げは円安や輸送コストの上昇分を価格に転嫁した形だが、ボージョレの販売数量についてはいずれも前年並みを見込んでいる。景況感の改善などで、消費者の財布のひもが緩み始めているからだ。
ボージョレに限らず、ワインの価格は上がっている。メルシャンは9月2日の出荷分から、国産・輸入ワインの合計約1000品目の大部分にあたる約800品目を、出荷ベースで約3~8%値上げした。
ここ数年の欧州でのブドウの不作や世界的なワイン需要の増加で、原料の濃縮還元果汁の価格が2008年に比べて約5割高騰し、ワイナリーからの蔵出し価格も約4割上昇した。これにアベノミクスによる円安が重なったのが理由だ。
一方、いまや国内を走るほとんどが輸入品という自転車も、値上げが進行中だ。自転車小売りの最大手、あさひはプライベートブランドの自転車の8割を、10~15%値上げしている。自転車は大半を中国で製造し、米ドル建てで輸入していることから、仕入れコストが上昇した。
この1年で円は米ドルに対して約30%安くなった。採算の悪化で、価格転嫁はやむを得ないと判断したようだ。
また、「GIANT」などの人気のスポーツタイプは2014年モデルが登場しているが、こちらも13年モデルと比べて1~2割超も値上げされている。たとえば、13年に8万円の「GIANT DEFY3」は、14年モデルでは10万円(税別)だ。
輸入自転車の中には値上げ幅を抑えるため、パーツのグレードを落としている車種もあるようだ。
経済産業省生産動態統計調査によると、2013年1~6 月期の輸入自転車の総台数は447万台。前年同期に比べて6.8%減少したが、金額ベースでは5.5%増の433億円。平均単価は13.2%増えて9690 円に上昇した。自転車産業振興会は、「金額の増加分は円安の影響です」と話している。