サポーターが警備員に暴行を加えるなどの危険行為を起こした問題で、「浦和レッドダイヤモンズ」はJリーグから制裁金1000万円という重い処分を受けた。
浦和サポーターは結束力が強く「日本が世界に誇る」とも評されるが、その半面マナーが悪いことでも知られ、これまでにも数々のトラブルを起こしてきた。今回の高額制裁は問題行為の「累計」と考えられている。
応援だけでなくマナーの悪さも「日本一」?
制裁の原因となったのは、2013年8月24日に浦和サポーターがスタジアムの外で起こした危険行為だ。試合前、静岡県袋井市「エコパスタジアム」に向けて公道を走る清水エスパルスのチームバスに、その前を走る浦和サポーターのバスから爆竹やスモーク、ロケット花火が投げつけられた。バスはサポーターが企画してチャーターしたもので、飲酒も行われていたという。
バスがスタジアムに到着すると、今度は待ち構えていた警備員とぶつかり、制止を振り切りバスから強引に降りてきた浦和サポーター4人は警備員2人に暴行を加えた。袋井警察署はこのサポーターらを暴行容疑で現行犯逮捕した。Jリーグは裁定委員会に諮問し、11月19日に浦和レッズへの制裁を発表。始末書の提出に加え、1000万円もの制裁金を科した。
1000万円という高額な制裁金はあまり例がなく、これまでの「累計」が高額化に影響しているようだ。浦和サポーターの応援の熱心さは「日本一」ともされ、スタジアム入場者数も群を抜いている。スタジアムは赤一色に染まり、ゴール裏の熱狂的なサポーター集団を中心にスタジアムを飲み込むほどの熱い応援が繰り広げられるが、その半面、問題行為も目立つ。卵やペットボトルを投げ込んだり、相手スポンサーの看板を隠したり、発煙筒を炊いたり、テレビ局クルーを殴ったりと、浦和サポーターによる「悪行」はこれまでもしばしば報道されてきた。サポーターが、ダービーマッチ(同じホームタウン同士の試合)で荒れることはよくあるが、浦和サポーターの場合、相手かまわず問題を起こすことで批判されることが多い。
「1000万円の制裁金は見せしめ」
Jリーグはこれまで何度も浦和に制裁を科し、クラブ側も度々サポーターに注意喚起を行ってきたが改善されなかった。スポーツ紙だけでなく一般紙にも取り上げられ、Jリーグのイメージダウンにつながったことは間違いない。早稲田大学スポーツ科学科の原田宗彦教授(スポーツマネジメント)は今回のJリーグの対応について、次のように話す。
「Jリーグはサッカー観戦をファミリーエンターテインメントにしようとしているので、スタジアムに普通のファンが寄り付かなくなってしまうような問題行為を放置するわけにいかない。1000万円という高額な制裁金を突きつけることで見せしめにもなり、浦和にもファン管理について、一層の改善努力が求められる」
浦和は問題行為に関わった計15人について、スタジアムの入場を禁止するなどのペナルティを科した。また、Jリーグからの制裁を受け再発防止策も策定。ファン・サポーターの「自発性・自己抑制」を促す各種施策の実施、実効性ある「抑止」の発揮、当事者に対する賠償請求等の責任追及の検討などを掲げ、順次取り組んでいくという。Jリーグは「今後同様の事案が発生した場合は、さらに重い制裁を科さざるを得ないと考える」としており、インターネット上ではサッカーファンの間で「無観客試合になるのでは」「勝ち点剥奪、降格もありえる」などと関心を引いている。「浦和サポーター=危険」という不名誉な認識が広まってしまった中、今後の浦和の取り組みに注目が集まる。