5大銀行グループの2013年9月中間連結決算が出そろった。アベノミクスによる市場環境の好転、貸し出し先企業の業績回復などを受け、最終利益の5大銀グループ合計は、前年同期比約6割増の1兆6569億円となり、リーマン・ショック後の最高を更新した。
5グループとも2014年3月期通期の業績予想を上方修正。「本業中の本業」である貸し出しも増加はしているが、「稼ぎのもと」となる貸し出し利息が低下傾向にあるなど、課題も多い。
株高、円安、アベノミクスさまさま
「株高、円安を引き寄せたアベノミクスの成果が有効に機能した」。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の平野信行社長、三井住友FGの宮田孝一社長、みずほFGの佐藤康博社長ら、各社のトップは異口同音にこう指摘した。
各行の利益が伸びた要因の一つが株高だ。株価が低迷していた前年同期には保有株の減損処理が利益を押し下げたが、13年の4~9月の日経平均株価は1万3000円~1万5000円程度に回復。そのため減損処理額は5グループ計で300億円台にとどまり、7000億円を超えた前年同期から大幅に縮小した。株高は投資信託の販売も増やし、販売手数料の増加を呼び込み、二重の意味で収益に貢献した。
また、三菱UFJの平野社長が「(取引先の)業績回復が大企業から中堅・中小企業に広がっている」と語ったように融資先の業績が改善したことが、銀行の業績にも好影響を与えた。融資先への貸し倒れに備える費用が想定を下回り、銀行業界で「戻り益」と呼ばれる利益が5グループ合計で2000億円超も生じたのだ。