売り上げ不振がささやかれてきたiPhone 5cに、とうとう「生産打ち切り」説が浮上した。
豊富なカラーバリエーションと比較的手ごろな値段を看板に鳴り物入りで登場して、わずか2か月しか経っていない。アップルの「二刀流」作戦は空振りに終わったのか。
台湾メディアが相次ぎ「終了」「縮小」報じる
フォックスコン(鴻海)、鄭州工場でのiPhone 5c生産を終了か――2013年11月18日、台湾メディア・DigiTimesが伝えた「業界筋」からの情報だ。
iPhone 5cは現在、台湾に本拠を置くフォックスコンと、やはり台湾メーカーのペガトロンによって生産されている。上記の鄭州工場は、フォックスコンの主力生産拠点であり、事実であれば「5c」の生産戦略が大きく転換されたことになる。
もっともDigiTimesの記事には時に「スクープ」もあるが「外れ」も多く、今回もフォックスコン側の沈黙もあり、真偽は定かではない。ただ他の台湾メディアもこのところ、鄭州工場での5c生産終了、または縮小を相次いで報じている。
たとえば経済日報は、ある従業員の証言として、「確かに鄭州工場での5c生産は終わった。5cの人員は5sのラインに回されたよ」という発言を掲載する。10月には米大手紙ウォール・ストリート・ジャーナルが、5c発注が2~3割削減されたとの説を紹介した。規模は不明にせよ、アップルが5cの生産縮小、また姉妹機「iPhone 5s」の生産拡大に動いている可能性は高い。
ハイスペック「5s」は好調だが…
「この色は、あなたです」(アップルのキャッチコピー)
5cは9月、これまでのiPhoneとは一線を画すカラフルなボディを看板に市場へ投入された。ハイスペックなiPhone 5sに対する「廉価版」として、主に新興国での需要を想定して開発されたと見られている。
しかし5sが好調な売れ行きを記録したのに対し、5cの方は発表当初から、その評判は芳しくなかった。「廉価版」とはいっても5sとの価格差はせいぜい1万円程度、逆に性能のほうは前世代機「5」並みと、「どっちつかず」の感が否めなかったからだ。
実際にある都内の携帯電話ショップで尋ねてみると、おすすめはハイスペックな「5s」か、型落ちで価格が安い「5」だといい、5cは「デザインが好きな人なら」という程度の扱いだった。国内の各種ランキングでも、やや上昇傾向にはあるものの、5sの後塵を拝し続けている。
市場調査会社・トレンドフォースでは、2013年第4下半期(10~12月)のiPhone出荷台数を合計4600万台と予想、うち5cは1100万台と見込む。「想定以上の好調」という5sの約3分の1だ。他社のスマートフォンに比べればそれでも立派なものだが、5s品薄の状況を考えれば、アップルが5cに「見切り」をつけることは十分ありうる。