スマートフォン(スマホ)の世界市場で、中国メーカーが存在感を高めている。2013年7~9月の世界の出荷台数では、米アップルと韓国サムスン電子の「2強」に続く3番手に、中国の華為技術(ファーウェイ)が食い込んだ。
「ものまね」と批判されても意に介さず、母国では低価格と顧客ニーズに応じた製品開発でシェアを拡大し、巨人アップルですら苦境に追い込まれている。
レノボ、ファーウェイ、ZTEが上位にランクイン
米調査会社ストラテジー・アナリティクスの2013年10月28日付発表によると、2013年7~9月期のメーカー別世界スマホ出荷台数は、首位がサムスンの8840万台で、シェアは35%に達した。2位がアップルで3380万台、13%となった。アップルがいまひとつ伸び悩んだが、9月20日に発売された最新機種「アイフォーン(iPhone)5s」が出荷データに反映される10~12月期には数字を伸ばすだろうと予測している。
米ガートナーが11月14日に発表した同様の調査結果では、聯想集団(レノボ)が3位につけた。別の調査でも、この中国2社がトップファイブ入りしている。前期の2013年4~6月期には、中興通訊(ZTE)もランクインしていた。
ほんの2年前のランキングではノキア(フィンランド)やリサーチ・イン・モーション(現ブラックベリー、カナダ)、HTC(台湾)といったメーカーが上位に名を連ね、中国企業は圏外だったことを考えると隔世の感がある。
中国メーカーの力強さは、おひざ元である中国市場で顕著だ。調査会社カナリスによると、2013年7~9月期の中国スマホ市場のシェアは、首位こそサムスンだが2位レノボ、3位チャイナ・ワイアレス・テクノロジーズ、4位ファーウェイと地元勢が独占し、5位にようやくアップルが顔を出す。6位以下も小米科技(シャオミー)、ZTEと海外メーカーを寄せ付けない。
スマホの普及で低価格機種の需要が伸び、これに中国メーカーがこたえている。「安かろう悪かろう」の製品しか出せないメーカーは淘汰され、顧客ニーズに合わせて幅広い価格帯を用意し、費用対効果の高い製品を開発するメーカーが大きく飛躍した。アップルが「廉価版」をセールスポイントに投入した「iPhone5c」は、中国では約7万円とも伝えられ「ちっとも安くない」と消費者にそっぽを向かれてしまった。これなら、性能面で引けを取らず、しかもずっと安価な「国産品」を手に入れた方がよっぽどいい。