日本経済団体連合会の北京事務所が、事実上の閉鎖ともいえる状態になっていることが2013年11月18日にわかった。1年更新の事務所の設置許可を中国当局に申請していないからだ。
政治が冷え込んでも経済交流は活発という「政冷経熱」の立場を経団連は強調してきた。9月には中国の国営・民間企業のトップで構成される「中国企業家代表団」が来日し、米倉弘昌会長らと会談するなど、日中関係の関係改善への期待が高まっていた。
「事務所は閉鎖していませんし、活動もしています」
経団連の北京事務所は、2012年4月に開所。米倉弘昌会長の出身企業である住友化学中国法人の事務所の一部を間借りし、所長が一人で駐在して活動している。事務所は1年ごとに設置認可を更新することになっており、中国国家工商行政管理総局と北京市政府が認可権限をもっているという。
その期限が3月に切れているが、経団連は「事務所は閉鎖していませんし、活動もしています」(濱厚常務理事)と話す。ただし、所長は現在北京に常駐しておらず、短期出張しながら活動を続けている。
経団連は「一部報道では、認可申請が済んでいるかのように報じられていますが、そもそもまだ申請もしていません。(申請後)すぐに受理してもらいたいと考えており、準備しているところです」と説明している。
とはいうものの、「申請していない」いうあたりに現在の日中関係が反映されているようだ。
折しも、11月18日からは日中経済協会(会長・張富士夫トヨタ自動車名誉会長)が米倉会長や今井敬・元経団連会長ら経済界首脳や経済産業省幹部による訪中団を、北京に送ることになっていた。
北京事務所の「閉鎖状態」の報道に、経団連は「尖閣問題と強引に結び付けているだけ」と、日中関係の雪解けムードに「水を差すな」といわんばかりに憤っている。