猪瀬都知事が国に猛反発 地方税収の地域間格差是正問題で

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法人住民税の一部国有化に市町村からも反発

   これに猛反発したのが猪瀬直樹東京都知事。11月1日の会見で、人口1人当たりの一般財源は都が全国37位にとどまるとして「東京に財源が集中しているという事実はあたらない」と反論。「税の配分を(国が)勝手に決めるのは地方分権と逆行した話。不合理な見直しが強行されれば、福祉改革や災害対策、五輪・パラリンピックの準備にも支障が出かねない」と不満をぶちまけた。

   これに対し、政府からは「東京都の社会福祉などの行政サービスが他地域に比べて充実している上、人件費が国家公務員より1割高い」(財務省)といった反論が出ている。

   また、地方自治体の間では、東京都を除くと、今回の方針に反発は目立たない。もちろん、自治体の本来の立場は、国から地方への税源移譲によって全国の自治体の財政全体を豊かにしていくこと。具体的には、法人関係税を国税にする代わりに地域格差が小さい消費税(格差は最大1.8倍)を地方税にすることを主張してきており、全国知事会は10月にも、地方法人事業税の一部国税化の現行制度を「廃止等を図ることを基本として検討すべきだ」との提案をまとめたほど。

   ただ、これは多分に建前。実際には今回、多くの自治体が報告書を容認し、税源移譲要求を封印した。消費税は全額を社会保障に使うと規定され、4月からの増税分の国と地方での配分も社会保障の範囲内の話で、いまさら抜本的な地方への配分増は困難だからだ。総務省も、税源移譲を進める従来方針を転換した。

   8日、首相官邸で政府主催で開かれた全国都道府県知事会議では、地方法人税について猪瀬都知事が国税化反対論をぶったものの、2008年の制度変更の際は共闘した大阪府、愛知県も、松井一郎大阪府知事は特区指定による税制優遇を求めただけで、大村秀章愛知県知事は海外出張で欠席。配分を受ける側になる見込みの他の知事はこの問題に触れず仕舞いで、東京都の孤立ぶりが目立った。

   一部国税化候補の法人住民税は都道府県だけでなく市町村税にもまたがるため、市町村からは疑問や反発も出ており、「関係自治体の納得が得られるものにしてほしい」(全国市長会の神谷学財政委員長=愛知県安城市長)、「市町村の基幹税目であり、到底容認できない」(矢田立郎・指定都市市長会会長=神戸市長)との声が聞こえる。年末の来年度予算編成、税制大綱決定に向け、東京都は愛知県豊田市など財政が豊かな市町村と連携して巻き返しを図る可能性もあり、議論の行方は予断を許さない。

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