猪瀬都知事が国に猛反発 地方税収の地域間格差是正問題で

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   地方税収の地域間格差是正をめぐり、総務省と東京都がさや当てを演じている。

   総務省地方財政審議会の「地方法人税課税のあり方等に関する検討会」が、都市部の法人住民税収を地方に配分する提言をしたのに対し、税収を召し上げられる側の東京都が猛反発しており、2013年末の2014年度税制改正と予算編成の焦点の一つになりそうだ。

消費増税で東京都の税収は4000億円増えるので狙われた?

猪瀬都知事は猛反発(13年5月撮影)
猪瀬都知事は猛反発(13年5月撮影)

   法人への地方税は都道府県税の地方法人事業税と、都道府県と市町村が折半する法人住民税(法人2税)がある。法人事業税は国税の法人税と同じ利益に課税するのに対し、法人住民税は法人税の一定割合を課す「法人税割」と、資本金や従業員数に応じて定額負担を求める「均等割」からなり、法人事業税と「法人税割」は赤字の企業はかからないが、「均等割」は赤字でも課税される。

   企業活動をする以上、赤字企業でも道路などインフラを使うのだから、地域社会の費用を幅広く負担すべきだとの考えだ。2011年度の税収は法人事業税が2.1兆円、法人住民税が2.5兆円。法人2税は、大企業の本社が集中する東京都の税収が突出しており、都の住民1人当たりの2税の収入は、最少の奈良県の5.3倍に達する。地方税収全体の格差は、最多の東京都が最少の沖縄県の2.5倍で、法人2税の格差の大きさが目に付く。

   地方間の税収格差の是正のためにある地方交付税は、国税の所得税、法人税、消費税などの一定割合を自治体に配分する仕組み。しかし、東京一極集中が進む中、格差は拡大し続けているため、2008年度から地方税の法人事業税の約4割を国税化し、税収の少ない地方に再配分するように改革した。

   さらに、2014年春の消費増税に伴い、放っておいても格差が拡大する。現在の消費税は5%のうち1%が地方分で、8%に税率が引き上げられると地方分は1.7%になるが、地方交付税の交付を受ける自治体は消費増税により税収が増えるのに伴い交付税を削られることになり、財政が豊かで交付税を受けていない不交付団体は消費税収が増える分、税収が純増になるのだ。税率10%の時点では東京都の税収は4000億円増えると財務省は試算する。

   そこで、総務省は地方税制の抜本改革を検討するため、昨年、検討会を設置。検討会は今年10月30日に提言をまとめ、格差拡大の是正措置として、法人住民税の見直しを打ち出した。具体的には、「法人税割り」の一部を国税化し、交付税に繰り入れて地方に再配分する案を示した。

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