半期売上2万3000円で上場会社 「新たな営業が行えない」インスパイアーってどんな会社?

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   JASDAQ市場に上場する「インスパイアー」なる会社が、インターネット上で「時価総額最低の会社」などと不名誉ないわれ様で話題になっている。時価総額は2013年11月15日時点の終値で1億8700万円だ。

   同社は11月14日に第2四半期(4~9月)決算を発表。決算短信の売上高の欄には「‐」とあった。「いったい、どうしたんだ」と、言いたくなる人は少なくないだろう。

「営業スタッフがいなくなり新たな営業が行えない状況になっております」

2013年4~9月期の売上高は2万3000円だった(画像は、インスパイアーのホームページ)
2013年4~9月期の売上高は2万3000円だった(画像は、インスパイアーのホームページ)

   インスパイアーの4~9月期決算短信によると売上高は「0」百万円(前年同期比99.9%減)。営業損失は5600万円の赤字(前年同期は6400万円の赤字)、経常損失5700万円の赤字(同6600万円の赤字)、純損失は2300万円の赤字(同6600万円の赤字)。

   しかも、創業からの事業であるIT事業については、「昨年から事業縮小を開始し、リストラを進めた結果、営業スタッフがいなくなり新たな営業が行えない状況になっております」という。現在、従業員は3人。もはや、これはリストラクチャリング(再構築)ではないのではないか。

   損益計算書によると、売上高「0」百万円(実際は2万3000円)に対して販売管理費5600万円を計上。おそらくは事務所の家賃などに充てられたと推測できるが、一方でキャッシュもないので実際には家賃も払えず、報酬ももらえていないようすがうかがえる。ただ、新たに1200万円の借り入れを起こしており、それで解消したのかもしれない。

   一方、インスパイアーはリカーショップ(旧インターサービス)から保証債務の不履行で訴えられており、2013年6月に東京地裁から総額約11億5200万円(6月27日時点)を支払うよう命じられた。7月にはこれを控訴、現在もなお係争中だ。

   同社の純資産は5億5800万円の債務超過だった。そのうち、訴訟の引当金が3億5000万円にのぼり、6割超を占める。会社の存続は、今後の訴訟次第といえなくもない。

「まったく何もしていないわけではない」

   インスパイアーは、1991年6月に資本金2億円で設立(当時は、フォーバルクリエーティブ)。ITセキュリティに関連する商品の輸入・販売やそれらの商品にかかる保守サポートサービス、コンサルティングなどを手がける総合ITセキュリティサービスベンダーで、2001年12月に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(現JASDAQ)への上場を果たした。

   現在はITセキュリティ事業に加えて、学習塾経営のフランチャイズ事業や広告事業、売買代金のクレジット決済にかかる加盟店開発を行うカード事業と、創建コーポレーションとの業務提携による太陽光発電システムの販売を行うグリーンエネルギー事業――の5つを据えている。なかでも、「主力事業は太陽光発電」という。

   ただ、事業を継続しているITセキュリティ事業の保守サービスでは営業体制の再構築が必要だが、それも資金不足から現在は手つかずの状態。また、新規事業として始めたグリーンエネルギー事業は後発のため苦戦を強いられている、と説明する。

   同社は、事業の現状打破と早急な財務基盤の安定のため、新株予約権や新株式の発行といったエクイティ・ファイナンスによる資本増強を行う方針で、「資金調達と営業体制の立て直しを併行して取り組んでいく」と強調する。

   そう簡単には営業体制を立て直せるようにはみえないが、インスパイアーは「決算書に書いてあること以外はお話しできません。ただ、まったく何もしていない会社だと思われているのでしたら心外です」と話している。

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