島倉千代子さんは「C型肝炎」だった 肝臓がんになることは覚悟していた

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病気も隠し歌い続けた「すごく強い人」

   第二次世界大戦中、7歳だった島倉さんは疎開先の長野で左手首に大けがを負ったことがある。田勢さんの発言は、この際の輸血を指していると思われる。C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで起きる肝臓の病気で、放置していると慢性肝炎、肝硬変、肝がんに進展してしまう場合がある。1992年以前は高精度のHCV抗体検査が導入されていなかったため、輸血で感染する可能性が高かった。島倉さんのC型肝炎の話は一般的にも知られておらず、田勢さんも「ほとんど人には言っていないと思います」と話す。

   島倉さんはC型肝炎も肝臓がんも周囲に明かさず、歌い続けてきた。小さい頃から島倉さんのファンクラブに入り、歌手人生を見守ってきたという田勢さんは「すごく強い人。16歳でトップにのぼりつめた人だから、なかなか我々には理解できないようなところがある」「島倉さんにとって歌は命そのものだった」と語る。そして、最後には「おつかれさんでした」と天国の島倉さんにメッセージをおくった。

   葬儀では、来年のデビュー60周年に向けて制作されていた新曲「からたちの小径(こみち)」が流れた。シンガーソングライターの南こうせつさん(64)が約1年前に島倉さんからの依頼を受けて作曲したもので、亡くなる3日前に自宅でレコーディングしたという。まさに全身全霊で歌った一曲で、南さんは「奇跡の歌声でした」と振り返る。歌の直後には「人生の最後にすばらしい時間をありがとうございました」という肉声のメッセージが流れ、歌手の石川さゆりさん(55)ら多くの弔問客が目を潤ませた。

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