告発サイト「ウィキリークス」が、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の「知的財産権」の条文案とみられる文書をインターネット上に公開した。
中身を読むと、議論となっている部分には賛成国と反対国の意見が付されるなど当事国間の駆け引きの模様が想像できる。TPP関連は情報管理が厳しいだけに、文書が本物だとすれば舞台裏を知る上で興味深い。
「著作権保護期間は70年」「国内法で判断すべき」
ウィキリークスがウェブサイト上で文書を公開したのは2013年11月13日だ。
2013年8月30日にブルネイで行われた、日本を含むTPP参加12か国の間で開かれた、知財分野の交渉内容を条文案の形でまとめている。
真偽のほどは不明だ。菅義偉官房長官は14日午前の会見で「政府としてはコメントを控える」と発言。TPP交渉の機密は外部流出を厳しく制限されているだけに、政府としては神経質になるところだろう。
それでも文書を読むと、真に迫っているようだ。知財に関連する多数の項目で、各国の主張がよく分かる。条文によっては賛成と反対の国名が明示されており、ひとつの文言をめぐって参加国が対立しているケースもある。資料の最初に登場する「全体の目的」から、早速内容の賛否が分かれている始末だ。
一例として、著作権の項目を見てみよう。その保護期間をめぐって、条文案の「作者の死後70年」に米国や豪州など5か国が賛成なのに対して、日本やカナダなど6か国が反対、メキシコは「死後100年」と独自案を出している。日本など6カ国は対抗案として、「保護期間は各国の国内法と国際的な合意によって判断されるべき」と主張しているが、米国を含む4か国は反対だ。
米国が推し進めようとしている新規医薬品の特許権に関する申請や許可、条件にかかわる項目は、10か国が反対、日本のみ「検討中」となっている。新薬の有効性や安全性の情報公開と引き換えに販売許可を与えた国は、それから最低5年間は別の業者が同様の医薬品を販売する権利を与えてはならないとの提案も米国が出したが、豪州をはじめ8か国が異を唱えている。
著作権侵害では、権利者の申し立てを必要とせずに政府が法的措置をとれるようにする「非親告罪化」について日本は反対しているが、同調したのはベトナムのみで、賛成10か国と日本にとっては形勢不利のようだ。