業界の共通データベース構築へ
銀行や生損保は金融庁、信販会社は経産省と監督官庁が分かれていることが、今回の問題を複雑にしている一因だ。金融庁にすれば「銀行や生損保をいくら身ぎれいにしても、提携ローンで入り口となる信販会社が暴力団排除に動かなければあまり意味がない」(幹部)という意識があり、みずほ銀に業務改善命令を出した背景に「信販会社の現状を問題提起しよう」という意図があったとの指摘もある。
実際、信販会社などの業界団体「日本クレジット協会」が11月7日に公表した会員アンケートでは、銀行などに比べて緩い審査の状況が明らかになった。例えば、「反社会的勢力の情報を収集、管理をしているか」との質問に27.7%が「現時点ではしていない」と回答。取引先が反社会的勢力であることが判明した場合の対応について社内で「明確に規定されていない」が16.6%あった。この結果を受けてクレジット協会は業界として共通のデータベースを、来春をめどに構築することを決めた。みずほ銀の問題で信販会社がクローズアップされなければ、このようなアンケート調査すら実施されたかどうか怪しいわけで、金融庁の当初の狙いはひとまず実現した、とも言える。
もっとも、金融庁も偉そうなことは言えない。「問題把握は担当役員止まり」とのみずほの言い分をうのみにしただけでなく、取締役会に問題融資が報告されていたことを示す資料が提出されていたのに、これを見過ごしたのだ。どこもかしこも緩さが目立つ今回の問題をどう決着させるのか、みずほ銀に追加検査中の金融庁の次の一手が注目されている。