高橋洋一の自民党ウォッチ
見せかけの「公務員制度改革」 新しい組織作って焼け太り

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   公務員改革は廃案の歴史で、麻生政権時代の2009年、民主党政権時の10年と11年に提出された法案は、いずれもねじれ国会の中で成立しなかった。そして今回、衆参で過半数を持つ安倍政権でようやく実現するわけだが、蓋を開けてみたら、内容が大きく後退していた。

   第一に内閣人事局。かつての改革プラン(2008年基本法、2009年甘利法案)では、「内閣人事局」は、人事院、総務省等に分散された人事関連の機能を統合し、内閣主導の幹部人事を支えることのできる体制を作ることを目指していた。

人事院の機能を温存したまま

   2013年9月時点で政府が示した法案骨子では、09年甘利法案の「内閣人事局」関連部分どおりとされていた。ところが、政府の法案をみると、

   (1)任用、採用その他の事務につき、内閣人事局と人事院との間でそれぞれ焼け太りのための業務分担を設定、
   (2)幹部職員の級別定数の設定につき、内閣人事局の権限としつつも、「人事院の意見を尊重」との規定を追加、となっている。

   つまり、人事院の機能を統合して内閣人事局を作るのでなく、人事院の機能を温存したまま内閣人事局も作る形にすり替った。これは、新しい組織を作る焼け太りであり、人事機能の分散した無責任体制をさらに悪化させるだけになる。

   第二に幹部人事制度。幹部人事の一元管理のためには、幹部人事制度の改革が必要だ。

   現行の公務員制度では、次官・局長などの幹部職員も、係員レベルの職員と同じ身分保障の対象であり、まず免職も降格もされない。この結果、民間人や若手を幹部に起用しようとしても、幹部ポストにある職員の身分保障に阻まれ、結局、年功序列型の順送り人事によるしかなくなる。

   かつて、自民党が野党だった際には、「幹部公務員法案」を提出したこともあったが、今回は「幹部公務員法」がない。これでは不十分だ。

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