市営住宅250万円滞納の奈良市職員 懲戒免職にならない不思議

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市営住宅には差別解消目的もあるのに居住権を侵害と訴える

   男性職員が滞納を始めたきっかけは、公営住宅法の改正で、奈良市が1998年から市営住宅の家賃制度を変えたことがあった。

   それまでは家賃の上限を決めるやり方だったのに、所得に応じて家賃を決めるやり方に変えたのが不満だったらしい。2000年12月19日付大阪読売新聞によると、市職員12人が、それまでの8倍ほどに家賃がアップするケースもあったとして、値上がり分の支払いを2年以上拒否する事態にまでなった。職員らは部落問題に関わっており、市営住宅には差別解消目的もあるのに居住権を侵害しており憲法違反だとコメントしていた。

   奈良市の住宅課では、取材に対し、男性職員も部落問題から家賃制度に納得できないと主張していることを認めた。職員は、市営住宅の自治会長もしているという。ただ、「生活が苦しければ住む権利はありますが、一般市民の方と平等の扱いになります。家賃を支払う義務はあり、今回は市の職員にもかかわらず残念だ」と言っている。

   職員が入居したのは、市役所に入ってからではなく、子どものころからだったそうだ。もっとも、職員の給与が高くなれば、市営住宅から退去してもらうことは必要だとした。この職員のほかには、現在は滞納などのケースは出ていないという。

   一方、市の人事課では、これまで男性職員が懲戒免職などにならなかったことについて、家賃滞納は懲戒処分の指針に項目がなかったからだと説明した。督促したり明け渡しを求めたりして対応していたので、指針を変えるまでにはならなかったという。

   今回強制執行を受けたことで、職務命令無視、信用失墜行為といった地方公務員法違反に当たるとして、今後懲戒処分を検討することになるとした。しかし、懲戒免職になるかどうかは分からないとしている。

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