東電「破たん」あるのか 分社化で再び議論が浮上

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   汚染水処理に除染、廃炉… まだまだ難題が山積する東京電力。政府は今後、東電に分社化を促す。いまの東電から汚染水の処理や除染作業を進める事業会社を立ち上げ、そこに国費を投じて福島第一原発の事故処理を進めるという。

   この分社化にあたり、「東電を破たん処理すべき」との声が再び強まっている。

分社化で、汚染水対策や廃炉に集中できる体制にする

   自民党の東日本大震災復興加速化本部は2013年10月31日の総会で、東京電力に対して分社化を含めた体制の見直しを促した。あわせて、除染作業やそれに伴う廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設と管理などに国費を投入することも提言。公明党とすり合わせたうえで近く、安倍晋三首相に申し入れる。

   提言では、東電の体制を(1)汚染水対策などの専門組織を設ける社内分社化(2)資本を切り離す完全分社化(3)独立行政法人化――などの方向で検討し、早期に結論を出すよう求めている。

   分社化には、東電が汚染水対策や廃炉に集中できる体制を整備する狙いがある。

   自民党の分社化案について、経済学者の池田信夫氏は10月31日付のブログで、東電は実質的に破たんしているので、「加害者の東電株主が責任をとらない(破たん処理なし)で、被害者である納税者の金を使うのは、『資本主義のルールに反する』」と指摘している。

   池田氏も、「GOOD東電とBAD東電に分離するしかない」と、分社化には賛成している。ただし、社内分社化のような曖昧な決着ではなく、きちんと法的整理したうえで、「福島第一原発を処理するBAD東電は基本的に国有化し、事故処理は国の事業として進めるべき」という。

   東電の破たん処理を求める声は、少なくない。週刊現代(2013年11月9日号)は、「そのとき何が起きるのか東電破綻」を特集。「当事者能力ゼロ、もはや時間の問題」と取り上げている。

   その中で、東電問題に詳しい久保利英明弁護士は「いまからでも遅すぎるということはありません。即刻、法的処理に踏み切るべき」といい、元財務相官僚で法政大学の小黒一正准教授も「汚染水問題や除染、廃炉などに対する東電の対応は限界にきている。そうした財政的負担を透明化する中にあっては東電を破たん処理したほうがいい」と述べている。

破たんすれば、株や社債は紙クズ、貸出債権もパー

   経済産業省時代から東京電力の破たん処理を唱えている古賀茂明氏はツイッター(2013年10月31日)で、国による汚染水処理に言及。「除染費用を東電が支払い拒否。安倍政権は、東電が払えないんだから国が出すと言い出した。『国が』と気安く言うけど、それって我々の税金のこと。株主や銀行が何の責任も取らないのに、どうしていきなり国民にツケが回って来るのか」と、憤っているようだ。

   たしかに破たん処理となれば、その影響は小さくない。国が東電に投入している1兆円は戻ってこないし、4兆円超の残高がある社債は紙切れになる可能性が高い。100%減資になるので、86万7704人が保有する東電株は紙クズになり、メガバンクが貸した3兆4788億円もの長期借入もパーだ。株式や債券市場への動揺も大きいことが予想され、混乱は東電だけではすまないだろう。

   もちろん、東電は分社化には否定的。汚染水処理などでミスが続出するなど現場の士気が低下しているなか、破たん処理して儲かる事業(GOOD東電)と事故処理(BAD東電)とを切り離したら、ますます士気が下がるとし、「電力の安定供給と廃炉を、一体感をもってやっていきたいというのはあります」としている。

   安倍首相も10月17日の衆院本会議で、東電の破たん処理を求めた、みんなの党の渡辺喜美代表や共産党の志位和夫委員長への答弁で、「引き続き民間企業として損害賠償や廃炉、汚染水対策、電力安定供給を確実に実施していくべき」と述べ、東電を破たん処理するつもりはないらしい。

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