破たんすれば、株や社債は紙クズ、貸出債権もパー
経済産業省時代から東京電力の破たん処理を唱えている古賀茂明氏はツイッター(2013年10月31日)で、国による汚染水処理に言及。「除染費用を東電が支払い拒否。安倍政権は、東電が払えないんだから国が出すと言い出した。『国が』と気安く言うけど、それって我々の税金のこと。株主や銀行が何の責任も取らないのに、どうしていきなり国民にツケが回って来るのか」と、憤っているようだ。
たしかに破たん処理となれば、その影響は小さくない。国が東電に投入している1兆円は戻ってこないし、4兆円超の残高がある社債は紙切れになる可能性が高い。100%減資になるので、86万7704人が保有する東電株は紙クズになり、メガバンクが貸した3兆4788億円もの長期借入もパーだ。株式や債券市場への動揺も大きいことが予想され、混乱は東電だけではすまないだろう。
もちろん、東電は分社化には否定的。汚染水処理などでミスが続出するなど現場の士気が低下しているなか、破たん処理して儲かる事業(GOOD東電)と事故処理(BAD東電)とを切り離したら、ますます士気が下がるとし、「電力の安定供給と廃炉を、一体感をもってやっていきたいというのはあります」としている。
安倍首相も10月17日の衆院本会議で、東電の破たん処理を求めた、みんなの党の渡辺喜美代表や共産党の志位和夫委員長への答弁で、「引き続き民間企業として損害賠償や廃炉、汚染水対策、電力安定供給を確実に実施していくべき」と述べ、東電を破たん処理するつもりはないらしい。