新型SUV「サンタフェ」で発覚した前代未聞の「雨漏り」のほか、電子系統にブレーキ関連とトラブルが頻発している韓国の現代自動車は、研究開発担当社長ら幹部3人の処分を発表した。
1年ほど前に研究開発担当社長に就任したばかりの権文植氏が辞任したほか、機械、電子技術担当の幹部2人が更迭。同社の声明によると、「品質問題による引責辞任」という。
米国でも、事故時に天井の一部が落下の恐れ
ロイター通信が2013年11月11日に報じたところによると、現代自動車は、韓国や米国などでのリコールや、韓国で消費者から品質に対する苦情が相次いだことから、モデルチェンジを前に更迭に踏み切ったという。
今回辞任した権文植・研究開発担当社長が就任直後の、2012年11月に米環境保護局(EPA)は現代自動車とグループの起亜自動車が米国で販売した13車種、約90万台のクルマについて、燃費性能の「水増し」があったと報告。燃費性能は最大で燃料1ガロンあたり6マイル(9.65キロメートル)が水増しされていた。
これが躓きのはじまり。13年4月には米国で販売した乗用車など計約187万台もの大規模なリコール(回収・無償修理)を実施。ブレーキを踏んでもブレーキランプが点灯しないほか、事故時にエアバッグが作動した際に、クルマの天井の一部が落下する恐れがあるという欠陥が見つかった。
その後、韓国内で発覚したのが、なんと「雨漏り」だ。朝鮮日報(電子版)によると、新型「サンタフェ」は13年4月に発売され、6万台近くが売れた。しかし、夏ごろからトランクや後部座席に雨漏りするとの抗議が相次いだ。現代自動車は8月に公式に謝罪し、リコールに応じるとともに、保証修理期間を5年に延長した。
とはいえ、前代未聞の欠陥に怒りが治まらない34人のユーザーは10月17日、現代自動車を相手に、雨漏りがある欠陥車を新車と交換するよう求める訴えをソウル中央地裁に起こした。
国内自動車メーカー関係者は「雨漏りするクルマなど、考えられない」「ありえない」と驚く。まだ原因もよくわからないが、米国で見つかった欠陥と照らしても、現代製のクルマの天井のつくりが「弱い」といえるのかもしれない。
韓国では今年3度目のリコール
現代自動車のリコールは、まだある。2013年9月には、ブレーキスイッチの欠陥が発覚。韓国内で現代自動車のセダン「ジェネシス」と「アゼラ」、傘下の起亜自動車のコンパクトカー「フォルテ」など、約66万台をリコール。10月にも、ブレーキに問題が生じる可能性があるとして、10万3214台のセダン「ジェネシス」をリコールした。
韓国では、じつに今年3度目のリコールだ。アンチロック・ブレーキ・システムのモジュールの消耗がブレーキの効き具合に影響する可能性があるとし、同じ原因で米国でも2万7500台の「ジェネシス」をリコールしている。
さらに日本国内でも制御装置(制動灯スイッチ)の不具合で、「ソナタ」や「JM」「グレンジャー」などの6車種、2164台を対象に、11月2日からリコールに応じている。ヒュンダイモータージャパンによると、制動灯スイッチ内部の接点の材質・形状が不適切なため、異物の発生や接点の摩耗によって接触不良が発生する場合があるという。
日米韓などのマーケットだけで、現代自動車のリコールはじつに300万台に迫ろうとしている。売り上げにも響いており、米国の10月の新車販売シェア(占有率)は、9か月ぶりに7.7%(2012年10月は8.5%)と低水準に陥っている。